経団連(中西宏明会長)は5月18日、東京・大手町の経団連会館で幹事会を開催し、西村康稔経済再生担当大臣から、「企業組織の変革に関する研究会(論点整理)」と題する講演を聴いた。概要は次のとおり。
■ 企業組織の変革の重要性
コロナ禍を機に、デジタル、グリーンなどをめぐる動きが世界で活発化し、さまざまな改革が急速に進んでいる。こうした動きのなかで、日本の経済社会が大きな変革を遂げるためには、多様な人材が個性を発揮し、付加価値の高い仕事をするとともに、スピード感ある意思決定がなされる企業組織へと変革することが求められる。このような問題意識のもと、「企業組織の変革に関する研究会」を設置して議論を行い、4月に論点整理を行った。
■ 企業組織の変革の方向性
日本企業が、デジタル化の果実を社会全体に行き渡らせ、イノベーションを起こして飛躍するためには、企業組織を伝統的な生え抜き主義からダイバーシティー登用主義に転換する必要がある。具体的には、若者や女性、外国人など多様な人材の登用、専門スキルをもつ経営陣によるプロ経営、他社経験を持つトップ(社長)の起用、管理職による若手の指導と若手の抜擢、ベテラン人材の活躍などが求められる。
■ 政府のアクション
4月に公表したコーポレートガバナンス・コード改訂案では、企業の中核人材における多様性の確保等を位置付けている。また、若手のうちにさまざまな経験を積めるよう、兼業・副業に関するガイドラインを改訂するとともに、フリーランスの環境整備等も行った。ベテラン人材の活用に向けては、地域経済活性化支援機構(REVIC)に人材リストを整備し、大企業の人材に地域の中堅企業で活躍してもらう取り組みを推進している。さらに、若手の出向起業を補助金交付により支援する。こうした取り組みに加え、学生のなかで、リモートワークが可能な会社で働きたいという意識が高まっていることを受けて、若い人に選んでもらえる企業としてのテレワークの実施を呼びかけている。
今年1月に国会で行った経済演説では、3つのニューディールとして、デジタル、グリーンに加え、「ヒューマン・ニューディール」を提示した。政府は、必要な予算を確保し、働き手のチャレンジを後押ししていく。自身の経験からは、1つの企業における経験だけでなく、「他流試合」を経験することが何よりも大事だと考えている。特に若手には他流試合でさまざまな経験を積んでいただきたい。
本研究会での議論を踏まえ、新しい時代への変革のため、日本企業のCX(コーポレートトランスフォーメーション)を進めていきたい。
【総務本部】