経団連は2月24日、オンライン説明会を開催し、改正産業競争力強化法(改正法)等について、経済産業省から説明を聴くとともに質疑応答を行った。改正法は、令和3年度税制改正での新設税制措置の各種要件や、バーチャルオンリー型株主総会の実現等を規定したものである。説明の概要は次のとおり。
■ 新設税制措置
令和3年度税制改正では、改正法による計画認定制度とひもづけるかたちで、カーボンニュートラル(CN)投資促進税制、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制、繰越欠損金の控除上限の特例措置が新設された。
まず、CN投資促進税制は、2023年度末までの3年間、改正法による計画認定制度に基づき、(1)大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備、または、(2)生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備の導入――に対して、最大10%の税額控除または50%の特別償却を新たに措置する。これらの具体的な設備等の定義について、主務省令に記載することを想定している。
次に、DX投資促進税制は、改正法の計画認定制度に基づき、データ連携・共有等の「デジタル要件」および「企業変革要件」を満たした場合に、DXの実現に必要なクラウド技術を活用したソフトウエア等のデジタル関連投資に対して、税額控除(5%/3%)または特別償却30%を措置する。税額控除5%は、グループ外の他法人ともデータ連携・共有を行う場合に認める。
さらに、繰越欠損金の控除上限の特例措置は、原則として20年度、21年度を特例対象事業年度としたうえで、ROAを5%ポイント以上引き上げる等の目標を盛り込んだ改正法による認定計画に基づく投資の実行額の範囲で、控除上限を最大100%まで最長5年間緩和する。計画に記載する投資の内容や税務申告等にかかる詳細は、今後、関係省令等に規定する予定である。
■ バーチャル株主総会の進展
(1)バーチャルオンリー型株主総会の実現
現行会社法上、難しいとされるバーチャルオンリー型株主総会(オンリー型)を実現する法案を国会に提出している。
対象は上場企業であり、経済産業大臣と法務大臣の確認手続きを経れば、オンリー型の利用にかかる定款変更ができ、その場合、会社法の「場所」の定めを求める規定を読み替えることで適用除外とできる。また、改正法施行から2年間は、確認手続きを経れば定款変更をしたとみなす経過措置がある。確認手続きでは、省令事項を満たすかなどを判断するが、省令は、株主の利益の確保への配慮および産業競争力の強化の観点から現在検討中である。
(2)ハイブリッド型バーチャル株主総会に関するさらなる明確化
昨年2月公表のガイドにおいて、参加型(オンライン傍聴)と、出席型(オンライン出席の上議決権等を行使)について整理を行ったが、今年2月、その別冊(実施事例集)というかたちでさらなる明確化を図った。
例えば、参加型、出席型ともに、音声のみでの開催も考えられることや、バーチャル参加・出席する株主数を合理的に予測しリアル会場の規模を設定する余地があること、取締役等も株主への説明義務を果たす限りでオンライン出席をした事例などを記載した。
なお、昨年4月公表の株主総会運営にかかるQ&Aについては、今年も変更はない。
【経済基盤本部】