経団連は3月8日、提言「Society 5.0 with Carbon Neutral 実現に向けた電力政策―電力システムの再構築に関する第二次提言」を取りまとめ公表した。
■ 取りまとめの背景
経団連は2019年4月に提言「日本を支える電力システムを再構築する」を公表(19年4月11日号既報)し、日本の電力が直面する危機を、電力投資の活性化により打開する必要があることを訴えた。
その後、エネルギー供給強靱化法の成立、さらに菅義偉内閣総理大臣による2050年カーボンニュートラル宣言によって、電力を取り巻く状況はさらに大きく変化している。同提言は、こうした変化を踏まえ、電力政策に対する考えをあらためて取りまとめたもの。
■ 求められる対応
2050年カーボンニュートラルを実現するためには、(1)一定の出力を保つ長期固定電源(原子力・水力等)(2)需給に応じて出力を調整できる負荷追従電源(水素火力等)(3)変動性電源(太陽光・風力)(4)蓄電によって需給をバランスさせる蓄電池・揚水――の4種をうまく組み合わせる必要がある。最適解は技術動向に左右されるため、不確実性を踏まえた複線シナリオで検討することが重要となる。
再生可能エネルギーを需要地へ送ったり、EV等の分散型リソースを活用したりするための送配電網の次世代化も欠かせない。エネルギー需要全体の脱炭素化には、電化の推進もカギとなる。
こうした将来像の実現に向け、各分野で図のような対策を講じていくことが求められる。
同提言に掲げた改革が早期に進展し、脱炭素化・分散化・デジタル化した次世代電力システムと、新たな時代にふさわしいビジネスモデルが構築されることを期待する。
将来像実現に向けた環境整備の方向性(例) |
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【環境エネルギー本部】