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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年3月4日 No.3490 イノベーターを育む環境づくり -角南笹川平和財団理事長と意見交換/イノベーション委員会

経団連(中西宏明会長)は2月17日、イノベーション委員会(山西健一郎委員長、畑中好彦委員長、田中孝司委員長)をオンラインで開催し、笹川平和財団の角南篤理事長から、「イノベーターを育む環境づくり~第6期科学技術基本計画における取り組み」をテーマに説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ イノベーターを育む学びとは

今年策定予定の第6期科学技術・イノベーション基本計画の案に、Society 5.0の社会実装をさらに進めるべく、人文・社会科学とイノベーションの要素が新たに加わった。Society 5.0の実現には、新たな価値を発見するための俯瞰的な視野や、社会課題を解決するイノベーションを起こす力が必要となる。このため、初等中等教育の段階から人文・社会科学の知見も含めた総合知を育み、イノベーション人材を育成することが求められている。

現在、文理横断的に学ぶSTEAM教育の実践事例が増え始めている。このような科学と芸術が融合した総合的な学びによって、レオナルド・ダビンチのようなクリエーティブで多彩なイノベーション人材が育っていく。スティーブ・ジョブズもArts and Scienceを常に意識して自身の創造性を育み、日本芸術からインスピレーションを得てiPhoneをデザインしたという。Society 5.0時代のイノベーションには感性の豊かさが必要であり、エッジの効いた人材を育むためにも、科学と芸術が融合した教育システムへと改革していかなければならない。

■ 教育改革のポイント

初等中等教育の改革のポイントとして、学校は児童・生徒が学習テーマに失敗を恐れず自由に挑戦できるサンドボックス(砂場)となるべきである。そのためにも、教員には児童・生徒の自由な発想や失敗を許容して支えていく姿勢や、大きな失敗を防ぐための事前の対応が求められる。また、好きな学習テーマを学年に縛られず自由なペースで追究できるように、メディア・コンテンツやデータサイエンスといった学習テーマ別のカリキュラムを提供していく必要がある。

大学についても地域と連携し、価値協創型のイノベーションエコシステムを形成してスタートアップ人材の育成事業を行うほか、新設した10兆円規模の大学ファンドの投資によって、世界トップクラスの大学を生みだしていく。

■ 企業に期待される貢献

初等中等教育の公的予算の制約は厳しく、今後の教育の主要なパトロンは国ではないのかもしれない。また、先進国に比して日本の初等中等教育は多様性に乏しく、ホームスクーリング(学校に通学せず、家庭に拠点を置いて学習を行うこと)なども含めて学びの選択肢を増やす必要がある。

これからはインターナショナルスクールだけではなく、外国人を含めさまざまな人と関われる先進的な私立の高校や大学が、民間主導で創設されることが主流になると期待している。

企業の現場は、子どもたちが早い時期から好きなことを発見・追究して、新たなものを創造するきっかけとなる絶好の学びの場である。企業を含め、社会がイノベーションの出発点となる学びの機会をオープンに提供していかなければならない。

【産業技術本部】

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