経団連は2月1日、「経団連グローバル人材育成モデル・カリキュラム」の導入講座として毎年秋学期に行っている「グローバル・ビジネスの現状と課題」の2020年度最終講義をオンラインで開催した。
同講座は、企業の実務担当者による講義を通じ、学生にグローバル・ビジネスで働くことの動機づけを行うため、上智大学とともに12年度から実施しているもの。経団連会員企業9社(※)の担当者が週替わりで講師を務めるPBL(Project Based Learning)型の教育プログラムであり、各社のグローバル事業の現状や直面している課題、求められるグローバル人材等について講義を行うとともに、レポート課題の提示やフィードバック、グループ討議のファシリテーションを通じて、グローバル・ビジネスにおいて持つべき視点等を学生に伝えている。
今年度は新型コロナウイルス感染症対策に鑑み、講義もグループ討議もすべてオンラインで実施した。
最終講義には、受講した30名の学生と9社の講師および関係者、担当教員の竹之内秀行経済学部教授、大塚寿郎学務担当副学長が出席。「グローバル人材になるという目標と、現在の学生の意識との間にギャップがあるとしたら、それはどのようなことか。そのギャップを埋めるために、企業・学生・大学がそれぞれ取り組めることを提言せよ」との課題に対して、学生の各グループが熱のこもったプレゼンテーションを行った。
受講した学生は、産学共同のグローバル人材育成プログラムの実施や連携大学または留学生との異文化交流会の開催等を大学側に提案。企業側には、初等中等教育段階からグローバル人材への意識づけを行うキャリア教育の実践や採用基準に地球規模課題への関心を追加すべきといった提言を行った。さらに、それらをめぐり学生同士が活発に意見交換した。
プレゼンテーションの後、企業人講師が「興味深い提案に啓発された」「学生の意識との間のギャップにあらためて気づかされた」などと講評した。
最後に大塚副学長があいさつし、「予測不可能な将来を見据えて一生学び続け、その都度課題を見つめ直さなければいけない」と強調。「今回、ひとつの課題を解決するためにさまざまな視点に立って考える必要性に気づいたと思う。その気づきを今後に役立ててほしい」と総括した。
最終講義終了後、オンラインで懇親会を開催し、講師や各社の担当者、学生がざっくばらんに意見交換した。
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経団連は4月から、討議や調査を通じて日本企業がグローバル・ビジネスにおいて実際に直面している課題の解決策を考察する同カリキュラムの応用講座「グローバル・ビジネスのフロンティア」を上智大学で開講する。グローバルに活躍できる人材の育成に向けて、会員企業に同講座への積極的な協力を呼びかけている。
【SDGs本部】