経団連は1月28日、行政改革推進委員会企画部会(大久保秀之部会長)をオンラインで開催し、内閣府地方創生推進事務局の黒田紀幸参事官から、国家戦略特別区域制度(特区)の概要ならびにスーパーシティ構想の実現に向けた取り組みを聴いた。概要は次のとおり。
■ 国家戦略特区による規制改革
菅内閣の一丁目一番地である規制改革を進めるうえで、特区は規制改革推進会議と並ぶ牽引役である。特区諮問会議でも、菅義偉首相から「国家戦略特区制度を活用した岩盤規制改革の一層の加速に向け、一丸となって取り組む」旨の発言があった。規制改革推進会議との連携も強化しており、昨年末には初めて合同会合を開催するとともに、互いのワーキング・グループに委員が参加し合う取り組みもスタートした。
国家戦略特区制度は、首相主導のトップダウンの仕組みとして2013年に誕生し、これまで10区域において114の規制改革事項が導入されている。主な成果として、東京都で導入した「都市計画手続きの迅速化」では約11兆円の経済波及効果、「農家レストランの農地内設置特例」では約4.2億円の売り上げ効果が確認されている。
制度創設から一定期間が経過し、弊害のない規制改革事項は全国展開するのが原則であり、これまで9事項が全国措置へと拡大している。
■ 企業からも規制改革提案を
規制改革措置の創設は、提案に基づいて行われる。提案は企業・自治体等誰でも可能であり、アイデアがあればぜひ寄せてほしい。提案受け付け後、調査・検討や規制官庁側との折衝を経て、諮問会議で承認されると、必要な法令改正が行われる。
■ スーパーシティ構想の取り組み
新たな特区の取り組みとして、スーパーシティ構想がある。これは、行政手続き・物流・医療・教育・防災等、生活全般にまたがる5つ以上の分野を目安として、データ連携基盤を通じて分野間のデータ連携を進め、先端的サービスを実装することで、未来社会の先行実現を目指す構想である。
現在、スーパーシティとなる区域を公募している。選定基準は7つあり、例えば構想全体を企画する「アーキテクト」がいること、広範かつ大胆な規制・制度改革を提案すること、住民の意向が確認できていることなどが含まれる。
構想実現に向けて、内閣府では、自治体が構築するデータ連携基盤のモデルを提示するとともに、実証調査や基本構想の作成支援等を行うこととしている。また、「スーパーシティ・オープンラボ」を立ち上げ、自治体の希望分野と企業のソリューションのマッチングを進めている。ぜひ多くの企業に参加してほしい。
【産業政策本部】