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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月28日 No.3485 国民の高い支持を得るモディ政権のもと発展を続けるインド -最近のインド情勢に関する説明会を開催

経団連は1月18日、オンライン会合を開催し、外務省南部アジア部南西アジア課の佐藤仁美地域調整官から、「最近のインド情勢ならびに貿易・投資戦略」をテーマに説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 政治・経済の状況

2019年5月実施のインド下院総選挙において、モディ首相率いるインド人民党(BJP)が過半数を大幅に超える議席を獲得し、第二次モディ政権が発足した。

第一次政権では、メイク・イン・インディア等の経済成長戦略、物品サービス税(GST)の導入等の政策を推進してきたが、今後、強固な政治的基盤をもとに諸課題の解決と経済発展を達成することが期待される。

新型コロナウイルスの感染拡大に対し、インド政府は初期段階から厳格なロックダウンを実施し、経済は落ち込んだ。20年3月以降、モディ首相は「自立したインド」を掲げ、零細企業や農民への金融支援、生産連動型補助金(PLI)など、国民各層向けに4度の経済対策パッケージを実施した結果、小売売上高等に回復の兆しもみられる。また、改正労働法などを成立させ、外国資本を呼び込みながら、製造業の振興と農民所得の向上により経済を強化する路線を維持している。ただし、目下、輸入制限的な措置により国内の生産を保護する動きもあり、注視する必要がある。

■ 主要国との外交方針

インドは伝統的に、自主性を重視する全方位外交を戦略的に推進してきた。

米国とは、モディ首相とトランプ大統領(当時)との間柄もあり、安全保障・経済両面で良好な関係を構築してきた。しかし、人権重視の民主党のバイデン政権発足後、両国関係は未知数な部分がある。

インドにとって最大の貿易相手国である中国との関係について、モディ首相は経済面からの改善を目指してきた。しかし、20年6月に国境が未画定の地域の一つで軍隊が衝突、1975年以来初めて死傷者が出る事態が発生し、二国間関係は悪化している。中国製品不買運動やインド政府による中国製スマホアプリの使用禁止措置などにより、対中輸入が減少傾向にあり、経済分野にも影響が出ている。ロシアとは、冷戦期から長く友好協力関係にあり、今後も良好な関係が継続するとみられる。

■ 日印経済関係の一層の発展にはビジネス環境整備が重要

わが国にとってインドは伝統的な友好国であり、2014年に両国の関係は「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」へ格上げされた。

近年、インドはわが国最大の円借款受取国となっており、わが国からは高速鉄道やデリーメトロ等、交通インフラを中心に質の高いインフラ輸出を積極的に展開している。また、スタートアップ、IT人材交流など、新たな分野でも二国間協力が進んでいる。11年8月に日インド包括的経済連携協定が発効し、19年度の両国間の貿易総額は約1兆7696億円となっている。

インドへの進出日系企業数は増加傾向にあるが、最近はペースがやや鈍化している。複雑な法制・税制関係等が進出の判断や現地における円滑な事業活動の障壁となっており、引き続き、日本政府としてインドのビジネス環境の改善を働きかけていきたい。

【国際協力本部】

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