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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月28日 No.3485 環境政策について経産省の山下産業技術環境局長から聴く -環境安全委員会・地球環境部会

山下局長

経団連の環境安全委員会(杉森務委員長、小堀秀毅委員長、野田由美子委員長)と同委員会地球環境部会(右田彰雄部会長)は1月13日、オンラインで合同会合を開催した。

昨年10月の菅義偉首相による2050年カーボンニュートラルの宣言を受け、その実現に向け、経済産業省は各省庁の協力を得て、20年末に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(グリーン成長戦略)を策定した。気候変動に関しては、米国のバイデン新政権の動向やEUの30年目標の引き上げなど国際的な動きも出てきている。さらに、国内の資源循環の分野では、プラスチック資源循環戦略の具体化の動きがみられる。

そこで、経産省の山下隆一産業技術環境局長から、環境政策にかかわる内外の諸情勢と同省の政策について聴いた。説明の概要は次のとおり。

■ グリーン成長戦略

2050年カーボンニュートラル宣言を踏まえ、経産省が中心となり、関係省庁からの協力を得て策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を、12月25日の成長戦略会議に報告した。同戦略は、菅政権が掲げる2050年カーボンニュートラルへの挑戦を、「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策である。同戦略では、成長が期待される14の重要産業・分野ごとに、高い目標を掲げたうえで、現状と課題および今後の取り組みを明記。また、10年間で2兆円の基金造成などの予算措置のほか、税、金融、規制改革・標準化、国際連携といった分野横断的な政策ツールを盛り込んだ。

同戦略により、国内外から投資を呼び込み、雇用と成長を生み出すことで、50年には年額190兆円程度の経済効果が見込まれる。同戦略を、できるところから着実に実行するとともに、関係省庁とも連携して、さらなる深掘りを検討していく。

■ 気候変動に関する国際情勢

EUは19年12月に欧州グリーンディールを発表した。新型コロナウイルスからの経済回復に際し、グリーンリカバリーを推進。また、昨年12月、2050年カーボンニュートラル目標を含む欧州気候法案に大筋合意し、30年に少なくとも55%(1990年比)の排出削減目標を国連に提出した。米国ではバイデン次期大統領(当時)が、パリ協定復帰を明言するとともに2050年カーボンニュートラルを宣言しており、州政府や民間企業の取り組みも加速している。中国は60年までのカーボンニュートラルを表明した。

■ 資源循環に関する政策

世界の持続可能な経済発展に向けては、大量生産、消費、廃棄型の線形経済から循環経済への転換が必要である。わが国企業がこれまでの3Rの取り組みのなかで培ってきた強みをグローバル市場で発揮し、中長期的な産業競争力強化につなげるべく、昨年5月に「循環経済ビジョン2020」を取りまとめた。主な推進施策として、今年1月中に「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」を公表するとともに、「プラスチック資源循環戦略」の具体化に向けた検討も推進している。

◇◇◇

山下局長との意見交換終了後、「経団連低炭素社会実行計画2020年度フォローアップ結果総括編(速報版)(案)」の審議を行った。

【環境エネルギー本部】

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