経団連事業サービス(中西宏明会長)は12月11日、東京・大手町の経団連会館で、次代を担う経営リーダーの育成を目的とした「経団連フォーラム21」の2020年度拡大講座を開催した。同フォーラムおよびミドルマネージャーを対象とした「経団連グリーンフォーラム」の今期メンバーと修了生あわせて約130名が会場およびオンラインで参加した。
■ トッパン・フォームズの人を幸せにする経営
前半の講座では、フォーラム21の第13期修了生でもある坂田甲一トッパン・フォームズ社長が、同社の概要や自身の経験に基づく経営論、人生論を語った。
1955年に設立された同社の前身は、カナダのビジネスフォーム製造会社との合弁である。97年に商号をトッパン・フォームズに変更した。現在は総合印刷会社の一角を占め、ダイレクトメールなどの紙製品とクラウド分野などのデジタルサービスの双方を扱う独自性を武器に、企業と社会の課題解決に取り組む先進企業となっている。
坂田氏は、同社が掲げる社会、会社、個人それぞれの利益を調和させながら実現する「三益一如」の経営信条を紹介し、人を幸せにするカンパニー、人が幸せになるチームをつくっていくことの重要性を強調した。
参加者に対しては、「思うとおりにいかないのが人生であるが、どういう気持ちで臨むかが大事。自分は運がよい、とポジティブな姿勢でいると実際に運が回ってくる。人事を尽くして天命を待つ。たとえつまずいても、そこから何かを学んで軌道修正できる人材であれ」とエールを送った。また、専門分野を自分自身が持つこと、そのような人材を育成することが肝要であると説いた。
■ グローバル化と共生社会の実現
後半の講座では、ウスビ・サコ京都精華大学学長が、グローバル化における共生社会の実現に向けた日本人への助言を行った。
サコ氏は、「新型コロナウイルス感染症の影響で一時的にグローバル化の流れが滞ることも考えられるが、これからの日本人はその潮流と向き合うことを避けて通れない」と述べた。そのうえで「グローバル化においては、国の概念を超えて存在する『個人』が主役であり、その間には、性別、人種、国籍、宗教、年齢、学歴等の違いがある。したがって、相違を認めて共生していくことが重要となる。日本人は、まず自国の文化をしっかり見定めたうえで、身の回りにある『異文化』の理解に努めることが求められる」と強調した。
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経団連フォーラム21は、企業の役員や部長クラスのメンバーが産業界を担う次代のリーダーとして研鑽を積むことを目的とする年間講座。政治・経済、経営、国際関係、歴史、文化・芸術など広範な分野における第一人者の講演やメンバー同士の討議などを実施している。次期第32期は今年5月に開講予定。
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