経団連は12月10日、東京・大手町の経団連会館で企業行動・SDGs委員会企業行動憲章タスクフォース(関正雄座長)を開催した。
同タスクフォースでは、SDGs(持続可能な開発目標)に資する企業や各種機関の取り組みの評価事例について類型別にヒアリングを行い、課題や改善策を取りまとめた報告書を作成予定である。
今回は、CSOネットワーク常務理事で社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ代表理事の今田克司氏から、インパクト・マネジメントについて説明を聴いた。また、社会的投資利益率(SROI)分析を活用したインパクト評価について損害保険ジャパンのインドネシアにおける交通安全事業と、自然保護による生態系へのインパクトについて東京海上ホールディングスのマングローブ植林プロジェクトの取り組みをヒアリングし、意見交換を行った。
今田氏の説明の概要は次のとおり。
■ インパクト・マネジメントの重要性
現在企業で実施されている「インパクト評価」の多くは、「測定」にとどまっており、いかに測定するかが重要視されている傾向にある。対外的な説得力を向上させるためには、「なぜ評価するのか」「何をどの程度評価するのか」を検討したうえで「評価」することが最も重要である。「なぜ」と「何を」は、インパクト・マネジメントにおける戦略に位置付けられ、その後いかに測定するかを考え、実行し、最後にいかに活用するかを検討する。この一連のプロセスがインパクト・マネジメントである。
今後は、インパクトの主流化に向けて、インパクトを中核においた企業経営や事業運営を行う企業を増やしていく必要がある。国際社会では、そのための国際基準が急速に策定されつつあり、大きく分けて抽象度の高い順に「プリンシプル」「フレームワーク」「スタンダード」に分類されるが、事業内容によって使いやすいものを選択する必要がある。また、インパクト・ウオッシュ(インパクトがあるような見せかけ)を避けるために、できる範囲で精緻に測定しレポートする、適切なインパクト評価を推進する必要がある。
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意見交換では、「予測しない事象が発生した場合、その事象も含めて評価やレポートすべきか」との質問に対して今田氏から、「SDGsでは、誰一人取り残さないということが重視されているため、メーンターゲットでない人たちへの影響・効果についても戦略の時点で検討すべきだ。世の中が複雑化し、状況が刻々と変化しているため、モニタリングの段階で予測し、マネジメントプロセスのなかでその都度改変を重ねる必要がある」との回答があった。
【SDGs本部】