経団連の古賀信行審議員会議長(地域経済活性化委員長)、月岡隆地域経済活性化委員長は12月23日、武田良太総務大臣を訪問し、11月に公表した提言「with/postコロナの地方活性化―東京圏から地方への人の流れの創出に向けて」(11月19日号既報)を建議した。
古賀議長は、「新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、首都圏の人の過密に対する懸念が高まり、テレワークを経験した働き手が地方での居住や勤務に関心を高めるなど、地方への人の流れを創出する機運が生まれている」と、同提言を取りまとめた背景を説明した。
そのうえで、地方への人の還流を促すには、地方において仕事や生活の環境が整備されている必要があると指摘。魅力ある地域づくりには「地域の資源とデジタルを活かした内発型の取り組みが欠かせない」と述べた。
また、今後のさまざまな施策の参考に供する観点から、経団連会員の地域経済・社会の活性化に向けた取り組み事例を紹介した。
さらに、古賀議長は、「連携中枢都市圏構想」を積極的に推進する必要性を強調した。同構想は、自治体間の自発的な広域連携の手法であり、行政サービスの充実や経済圏域づくりの面で効果が期待される。地域が人を惹きつけるためには、広域連携による地域資源のブランド化や、病院をはじめとした各種機能の集約が望まれるが、その制度の複雑さから、十分活用されるに至っていない。このため同提言では、政府によるきめ細かな情報提供や、他の各種制度も含めた広域連携の手法の再構成の必要性を指摘。加えて、連携中枢都市圏を構成する自治体向けに行われている財政支援について、各種政策が圏域に与える効果の測定に基づき財政措置の内容を変動させるなど、インセンティブを付与し、効果的に政策誘導をする仕組みの導入を求めている。
最後に、古賀議長は、地方におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する観点から、地方自治体のデジタルガバメントの実現に向けて、政府による積極的な支援を要請した。
武田大臣は、「オンラインが生活に組み込まれ、今後、社会のあり方は画期的に変わる。提言の内容を踏まえ、広域連携をはじめ、地方行政のあり方について議論していく」との考えを示した。
また、地方行政のデジタル化にはマイナンバーカードの普及が不可欠であるとして、武田大臣は、経団連会員の従業員等への同カードの普及拡大に向けた協力を要請した。
【産業政策本部】