経団連は12月1日、EMPOWER活動報告会をオンラインで開催した。2019年のG20大阪サミットの首脳宣言に基づき発足したEMPOWER(Private sector alliance for the Empowerment and Progression of Women's Economic Representation)は、民間ビジネスセクターの意思決定層における女性の活躍を支援する国際的なアライアンスであり、経団連もその活動に賛同する「アドボケート」の一員である。EMPOWER日本共同代表のアキレス美知子氏(SAPジャパン人事戦略特別顧問)ならびに塚原月子氏(カレイディスト代表取締役)から、「企業の意思決定層における、女性のさらなる活躍」をテーマに講演を聴いた。概要は次のとおり。
企業における意思決定層への女性参画は、組織のガバナンス向上やイノベーションの創出等をもたらし、業績上のメリットがあることが多くの調査から示されている。この動きを加速するため、EMPOWERは日本政府や経済界とも連携しながら活動してきた。20年10月には、各国のEMPOWER代表と共同で成果文書を発表。女性の力をパンデミックからの経済復興に活かし、ジェンダーギャップの解消を目指すべく、官民で具体的なアクションを起こすという意思表明のもと、G20首脳への政策提言や、民間セクターのPLEDGE(コミットメント)、各国の好事例集等を公表した。その結果、G20首脳宣言でもEMPOWERの項目が採り入れられている。
経団連とは20年夏に共同でアンケートを実施しており、協力いただいた方々には感謝申し上げる。調査結果とEMPOWER各国からの好事例を比較すると、(1)日本企業は柔軟な働き方の改革に熱心に取り組んでいるが、それが上位ポストではあまり浸透していないこと(2)メンター・コーチング制度も導入され始めているが、もう一歩推し進めた経営主導のスポンサーシップとなると少ないこと(3)女性同士のネットワーク構築は進む一方、男性アライ(支援者)も含めた自主的社員グループは少ないこと――等の示唆が得られた。
今後のEMPOWERの活動では、各国の好事例のさらなる収集や、EMPOWERの知名度向上に加え、「アドボケート」も巻き込んださらなるネットワークの拡大に力を入れたい。EMPOWERの活動への賛同企業・団体を引き続き歓迎する。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】