経団連は11月25日、東京・大手町の経団連会館で外交委員会企画部会(小久保憲一部会長)を開催し、自由民主党の小林鷹之新国際秩序創造戦略本部事務局長から、同党での経済安全保障に関する検討状況について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 新国際秩序創造戦略本部での検討
数年前から、わが国が誇る技術が買収等を通じて他国へ流出していることに危機感を抱き、わが国の技術優越を確保する方策等について党内で議論を行ってきた。
こうしたなか、新型コロナウイルスが世界的に拡大したことを奇貨として、デジタル監視型・国家資本主義型の新たな国際秩序が萌芽・伸長している。しかし、新型コロナ後の新たな国際秩序も、自由で開かれた、ルールに基づくものとすべきである。こうした問題意識のもと、今年6月、党内に新国際秩序創造戦略本部が設立された。
同本部での検討におけるキーワードは2つある。わが国しか果たせない強みを活かす「戦略的不可欠性」と、政策決定にあたり他国から過度に干渉されず、危機においても国民生活を守ることができる「戦略的自律性」を確保することである。
■ 経済安全保障戦略の重要性
わが国の大きな課題は、経済安全保障戦略がないことである。経済安全保障は、国の繫栄を経済面から強化することだ。日本として広義の経済安全保障戦略を策定し、技術、エネルギー・資源、食料等の政策立案にあたって一貫した方針で取り組むべきである。
経済安全保障は技術に限られる話ではないものの、技術は重要な核であるのも事実だ。各国の機微技術の管理強化策は、日本企業にも大きな影響を与えており、右往左往させられている。経済安全保障戦略を策定し、これを達成するために重要となる技術を主体的に特定すべきだ。この前提として、わが国が強みを持つ技術を把握することが必要である。これらの点も含め、党の関係部会・調査会と連携し、年内を目途に政府へ提言を取りまとめたい。
■ 企業への期待
国の戦略の策定は政府・与党が行う一方で、経済の主役は企業である。わが国にとって重要な技術の研究開発や投資にあたっては、従来以上に失敗を恐れずに取り組むようお願いしたい。同時に、企業としても、安全保障に関する問題意識は共有してほしい。政府・与党では、企業や経団連と緊密なコミュニケーションを図りながら、企業を後押しできるような政策を打ち出していく。
【国際経済本部】