
経団連企業人政治フォーラム(大塚陸毅会長)は7月30日、オンラインでの講演会を開催し、芹川洋一日本経済新聞社論説フェローから、「安倍政権の行方」と題する講演を聴いた。概要は次のとおり。
■ 安倍内閣の支持率を読む
安倍内閣の支持率は、報道各社の世論調査共通して、今年4月から6月にかけて下落し、現在も低水準が続いている。支持率が戻らない理由としては、新型コロナウイルス等をめぐる政権の一連の対応に対する批判に加え、行政の対応のまずさが重なってしまった。
政権安定度合い(政権安定度指数)は、内閣支持率と自民党支持率の和から読み取れる。日経調査に基づく今年7月の政権安定度指数は、内閣支持率43%+自民党支持率41%=84である。過去の例から、この値が80あれば安泰、70台に下がると注意報、50を下回れば退陣というのが1つの目安となろう。これまで安倍政権が80を下回ったことは、2015年の安保法制、17年の森友・加計問題と今回の計3回であり、過去の2回については解散総選挙で突破した。
また、内閣支持率が政党支持率を下回った場合は、総理大臣が政党の足を引っ張っている状態といえる。内閣支持率が自民党支持率を5~6ポイントも下回ることがあれば、選挙を行うことは厳しい。これまで安倍内閣の支持率は一貫して自民党支持率を上回ってきたが、今年7月には2ポイント差までに迫っている。
■ 安倍政権を揺るがすもの
安倍長期政権の理由としては、(1)政権中枢のまとまり(2)内政面での霞が関のグリップ(3)米トランプ大統領との人間関係に代表される安倍外交の成果(4)ポスト安倍の不在(5)弱い野党(6)上向きだった景気・雇用――が挙げられる。特に(6)の(上向きだった景気・雇用)によるところが大きく、「経済の安定」は安倍政権にとっての「貯金」であったが、今般の新型コロナによりこの貯金が尽きつつある。
■ 衆議院解散のタイミング
今回のピンチを脱するには、15年、17年と同じように解散するしかないとの見方もある。その場合、今秋が1つのタイミングと政界では取り沙汰されている。しかし、前述の支持率面での数字の厳しさに加え、新型コロナの収まりがみえないなか、慎重論も多い。私見としては、来年秋の任期満了選挙の可能性が高いと思うが、新型コロナの動向によるところも大きく、今後の動向を注視したい。
【総務本部】
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◆ 今後の予定
- 甘利明衆議院議員講演会(9月11日(金) 8時~9時)
- 渡部恒雄笹川平和財団上席研究員Web講演会(9月23日(水) 12時10分~13時)