経団連は7月24、25の両日、韓国の全国経済人連合会(全経連)とともに、韓国のソウルで第8回アジア・ビジネス・サミットを開催した。同サミットは経団連の提唱により、2010年から毎年開催されており、アジアの主要国・地域の経済界のトップが一堂に会してアジアが抱える共通の課題について意見交換を行い、各国政府に政策提言を行っている。
今回は、10の国・地域から12の経済団体(注)の首脳が参加し、(1)アジアの成長戦略(2)イノベーション(3)グローバリゼーション――をテーマに活発な意見が交わされた。経団連からは、榊原定征会長、十倉雅和副会長、飯島彰己副会長、山西健一郎副会長が参加した。また、24日の夕食会には韓国の李洛淵首相が来席した。
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■ 主な議論の模様
榊原会長は、「アジアが世界の成長センターとしての役割を果たしていくためには、イノベーションとグローバリゼーションを推進していくことが欠かせない」とし、各国・地域の強みを活かしたイノベーションを融合させ、高付加価値の技術、製品、サービス等を絶え間なく創出するとともに、アジアの経済界が一体となって自由貿易の旗を高く掲げ、経済統合と貿易投資の自由化の制度的基盤として経済連携協定を推進すべきことを指摘した。
他の参加者からは、各国の成長戦略や経済情勢の紹介のほか、サービス産業やソフトパワーの育成、イノベーションを担う人材の育成、国境を越えた労働力移動の推進、世界に蔓延する保護主義に対する警鐘、地域経済統合や経済連携協定の実現、経済発展の基盤となるインフラ整備などについて意見が示された。
■ 共同声明
当日の議論を受けて、共同声明が取りまとめられた。概要は次のとおり。
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出席した各国経済団体代表
- (1)制度改革や規制緩和、新産業の創出、優秀な人材の育成等を通じた成長戦略の実行と各国の競争力強化
- (2)国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に資するSociety 5.0など各国のイノベーション政策の連携
- (3)パリ協定の発効を受けたアジア各国の連携による地球環境問題に対する取り組みの一層の強化
- (4)世界的な保護主義の高まりに対する懸念と自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に向けた協力
- (5)高水準で包括的なFTAAP(アジア大洋州自由貿易圏)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)の早期実現に向けたアジア各国の協力
- (6)各国の経済発展に向けた質と量の両面でのインフラ開発
◇◇◇
次回のアジア・ビジネス・サミットは、インド工業連盟の主催により、来年、インドで開催される予定である。
(注)経団連、全経連(韓国)、中国企業連合会、中国国際貿易促進委員会、インド工業連盟、インドネシア商工会議所、ミャンマー商工会議所連合会、比日経済委員会(フィリピン)、シンガポール経団連、東亜経済協会(台湾)、工商協進会(台湾)、タイ商業・工業・金融合同常任委員会
【国際協力本部】