経団連は14日、提言「改定『観光立国推進基本計画』に対する意見―地域主導の観光先進国の実現に向けて」を公表し、関係各方面に建議した。現在、政府では、今年度末の「観光立国推進基本計画」の改定に向けた議論を深めており、同提言は基本計画へ経済界の意見を反映すべく取りまとめたもの。
提言では冒頭、基本計画がターゲットとする2017~2020年度を、「『観光立国・観光先進国』に向けて飛翔するか否かの分水嶺」と位置づけたうえで、「旅行者数の拡大という『量』と同時に、高いレベルで観光の『質』を極めていく必要がある」と強調。特に、(1)消費拡大とサービスの質的向上で、観光の「稼ぐ力」を発揮する(2)人口減少と新たなニーズに対応し得る先端技術を積極的に導入する(3)地域が自ら主導し、特色ある観光地を形成して自立的に成長する――という3つの視点を基本的な方針に盛り込むべきだとした。同時に、基本計画の確実な実行に向けて、観光庁の人員・予算等の拡充も含めた、司令塔機能の発揮を訴えている。
また、基本計画で掲げる目標設定のあり方について、政府の責任とリーダーシップのもとで官民が緊密に連携し、計画期間中に確実に達成することを求めた。
具体的な施策については、大きく「観光関連産業の成長力強化」「受け入れ体制の整備」「地域主導による自立的成長」にまとめている(図表参照)。なかでも、国内外の観光消費の喚起・創造を重視しており、例えば、高齢者や障がい者等向けの新たな観光市場“ニューツーリズム”の創造、学校休業日と連携した有給休暇の取得促進等を提案している。
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なお、提言では、「観光振興と地域の活性化は、わが国の産業に遍く関わる重要課題」として、経団連のアクションにも触れており、休暇の取得促進、プレミアムフライデーの活用、観光人材の育成等に取り組む決意を表明している。
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経団連では今後、政府審議会をはじめ、関係各方面に強く働きかけ、提言事項の実現に努めていく。
【産業政策本部】