経団連は1月26日、2016年6月度の定期賃金調査結果を発表した。同調査では、今後の賃金対策の参考とするために従業員の定期給与(月例賃金)の実態と動向を毎年把握している。調査結果の概要は次のとおり。
(1)学歴別標準者賃金
標準者の賃金を学歴別にみると、すべての区分で年齢・勤続年数が上がるにつれて賃金額が上昇し、55歳でピークを迎えた後、役職定年制などの影響によって下降する傾向がみられる。
この傾向が顕著である総合職・大学卒の賃金を15年調査と比較すると、若年層や子育て層などに対し重点的な月例賃金引き上げを行う企業が増えたことなどを反映し、35歳以下のすべての年齢ポイントで増加した。賃金の増加幅は25歳から30歳間が7万5816円(昨年比1126円増)で最大となり、55歳から60歳にかけての減少幅は昨年に比べて6566円拡大し、4万2335円となった(図表1参照)。
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(2)産業別平均賃金
所定労働時間内賃金は全産業平均が37万8238円、製造業平均37万855円、非製造業平均が38万9752円となった。
所定労働時間外賃金は、全産業平均が5万6115円、製造業平均が5万7218円、非製造業平均が5万4394円となり、各産業を取り巻く経営環境の違いなどから、業種ごとにばらつきがみられた(図表2参照)。
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(3)役職者賃金
実在する役職者に支払われた所定労働時間内賃金の平均は、部長(兼取締役)(99万5292円)、部長(69万8489円)、部次長(60万2613円)は15年調査と比べて増加した一方、課長(53万5698円)、係長(40万1609円)は減少となった。
部長の賃金を100とした各役職の賃金の比率について、直近10年間の動向をみると、「部長(兼取締役)」以外の役職に大きな変化はなく「部次長」が80台後半(86.0~88.0)、「課長」が70台後半(76.2~77.6)、「係長」が50台後半(56.8~58.8)で推移している。
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定期賃金調査は1953年から毎年実施している。16年は経団連の企業会員および東京経営者協会の会員企業のうち、395社(製造業53.2%、非製造業46.8%)から回答を得た(有効回答率20.6%)。
【労働政策本部】