経団連(榊原定征会長)の岩沙弘道審議員会議長、石原邦夫、村瀬治男両アメリカ委員長ら経団連国際対話プロジェクト訪米団が11月29日から12月1日にかけて、福田康夫元首相とともにワシントンDCを訪問した。
トランプ新政権の政策については、トランプ氏自身がオバマ政権からの「変化」を求める国民の強い声によって選ばれたこともあり、これまでの政策から大きく方向転換する可能性も指摘されている。そこで、米国次期政権の政策の方向性を把握し、今後の経団連の対米活動に活かすことを目的に、連邦議会議員やシンクタンク等の政策関係者と懇談した。
■ 新政権の基本スタンス
今回会談した連邦議会関係者や政策関係者の多くからは、内政・外交を通じて「雇用」を重視する姿勢が強くなるだろうということ、また日米関係の重要性は不変であるということが一貫して語られた。また、トランプ氏自身は非常に柔軟な考え方の持ち主であり、トランプ氏の選挙期間中の発言を言葉どおりに一つ一つとらえるのではなく、その方向性を見極めることが重要だとの指摘もあった。
■ 通商政策
通商政策については会談した米国要人の多くが、今のままでのTPP(環太平洋パートナーシップ)承認は困難であり、またNAFTAについても見直しは避けられないとの認識であった。また、新政権の通商政策は、公正な貿易、雇用の創出・維持、米国製品の売り上げ増という視点から構築されていくだろうとの見方も示された。
一連の会談を通じて訪米団メンバーは、今後はTPPのようなマルチの協定ではなく、日米FTAのような二国間交渉を米国が志向するとの観測が示されているが、米国がいつでもTPPの枠組みに戻れる状況をつくるべく、日本としては他のTPP参加国とともに国会承認等の国内手続を粛々と進めることが肝要であるとの認識に至った。
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経団連では今回のミッションの成果を踏まえ、米国経済における日本企業のプレゼンスを一層高め、必要な働きかけを行っていくため、米国各州への継続的なミッションの派遣や大統領府や連邦議会、州政府等に対する日本企業の貢献の積極的な発信など、戦略的な政策広報活動等の強化に努める方針である。
【国際経済本部】