経団連は9月16日、東京・大手町の経団連会館で社会貢献担当者懇談会(金田晃一座長、山ノ川実夏座長)を開催した。グーグル防災・復興プロジェクトプログラムマネージャーの松岡朝美氏から、東日本大震災の際に行った自社の取り組みならびに「未来への学び」プロジェクトの概要について説明を受けるとともに、活発な意見交換が行われた。
松岡氏の説明の概要は次のとおり。
グーグルは、東日本大震災の際、「災害対応」「デジタルアーカイブ」「地域活動支援」の3つを柱に対応を行った。まず、「災害対応」として、安否情報を掲載するパーソンファインダーを震災発生から2時間以内に提供開始したほか、自動車通行実績マップ、衛星写真等を公開した。その後、これら災害情報を集約したサイト「Googleクライシスレスポンス」の運用を本格的に開始した。こうした東日本大震災の経験を活かし、今年4月に発生した熊本地震の際には、迅速な対応が可能となった。
次に、「デジタルアーカイブ」については、ストリートビューで東北の様子を撮影し街の変化を記録した。熊本地震でも、被災した自治体からニーズが寄せられ、益城町や西原村、南阿蘇村で撮影を行った。
「地域活動支援」については、東北の新しい未来を創る人と、東北のために何かしたいと考える人々をネット上でマッチングする「イノベーション東北」を2013年5月に立ち上げ、すでに2200件以上のマッチングを実現している。
こうした活動を通じて、経験や知見の重要性に加え、それらを記録し、共有することの意義も感じたことから、今年3月に「未来への学び」プロジェクトを立ち上げた。現在、三菱商事をはじめ社会貢献活動に積極的に取り組む企業等、14社・団体の知見がカテゴリーごとに25文字程度の簡潔な「ナレッジ」としてまとめられており、関心に応じて詳細を読むことで学びを深められる。
自分自身、社内外の多くの方々の知見に助けられ、こうした知見を蓄積し見える化することの重要性を感じた。各社の貴重な知見を、同プロジェクトを通じて社会に広く共有してもらい、社内外への広報ツールとして活用していただければ幸いである。今後災害が発生した際、こうした取り組みが復旧・復興を担う人々の一助になることを期待する。
【政治・社会本部】