経団連の榊原定征会長は26日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
榊原会長は働き方改革について、経済界としても最大のチャレンジの一つであり、特に長時間労働の是正を重要課題ととらえていると述べた。今年を働き方・休み方改革集中取り組み年と位置づけ、経団連はじめ多くの団体が「経営トップによる働き方改革宣言」を採択したことを紹介。経営トップ自らが意識改革を行い、長時間を前提とする働き方など日本の職場環境や企業風土を変えるべく政府と一体となって取り組んでいくとした。
同一労働同一賃金については、7月の経団連提言で日本特有の雇用慣行に十分留意しつつ、不合理な待遇差を是正することが重要であると主張していることに言及。ある時点で同じ労働であっても賃金は将来的な役割や仕事への貢献に対する期待などを反映しており、こうした雇用慣行をどう評価するかが課題との認識を示しつつ、これはわが国産業の競争力の源泉でもあり、尊重しなくてはならないと述べた。
36協定について、残業の上限規制を含め見直しを行う方向性は間違っていないとしたうえで、労働者保護と業務継続性の2つの観点から検討する必要があるとした。業種による差や繁忙期・閑散期などを踏まえ議論を行うべきで、これを無視して一律的に上限を決めれば業務が滞りかねず、経済の実態に大きな影響が出るとの懸念を示した。
一方、時間でなく成果で評価する高度プロフェッショナル制度は長時間労働是正や女性の活躍推進に資すると指摘。欧米では一般的で研究開発やマーケティングに携わる労働者には働きやすく、自由な裁量で働く環境をつくることは働き方改革にも大きなプラスになるのに加え、無制限に働くことに歯止めをかける仕組みも盛り込まれており、導入に期待を示した。
臨時国会について榊原会長は、重要法案の成立、とりわけ第二次補正予算の成立とTPP承認に強い期待を示した。TPPについてはトランプ、クリントン両候補ともに消極的な姿勢であることに言及。新政権に批准プロセスが引き継がれると成立が困難になることが予想されるため、現政権中の米議会での承認を強く期待していると述べ、日本としても早く承認し、米国を後押しすることが重要との認識を示した。
【広報本部】