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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月1日 No.3283 規制改革会議の活動の成果と今後の課題を聞く -行政改革推進委員会

説明する規制改革会議の岡議長
(当時)

経団連は7月27日、都内で行政改革推進委員会(山本正已委員長)を開催し、規制改革会議の岡素之議長(当時)から規制改革会議の活動の成果と今後の課題について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

1.規制改革の本質

規制改革の本質は3つある。1つ目は「変化への対応」である。時間の経過とともに生じる技術水準や社会環境の変化に対応する必要があるため、規制改革に終わりはないといえる。2つ目は「トレードオフ」である。安全性と利便性、質の充実と量の拡大、経済性と環境保全等、規制改革の実現のためにはさまざまな利害対立を乗り越えなければならないため、政治によるリーダーシップの発揮が極めて重要である。3つ目は「規制改革に近道なし」である。地道で粘り強い取り組みが求められるため、規制改革の実現には多くの時間を要する。

2.活動の成果と今後の課題

2013年1月の規制改革会議設置以降、(1)石炭火力発電に対する環境アセスメントの迅速化(2)農地中間管理機構の創設と農業協同組合の見直し(3)水素ステーションにかかる規制改革(4)個人情報の匿名化措置の明確化(5)民泊サービスにおける規制改革(6)通訳案内士制度の見直し(7)新たな保険外併用の仕組みの創設(8)一般用医薬品のインターネット販売規制の緩和(9)機能性表示制度の創設(10)理美容サービスに関する規制の見直し(11)遠隔診療の取り扱いの明確化――等、経済活性化や国民の利便性向上・選択肢拡大に資する規制改革に取り組んできた。

今後の課題として3つ挙げられる。1つ目は「多様な働き方改革」である。規制改革会議としてなかなか進めることのできなかった分野だが、少子高齢化社会のもとで経済成長を実現するためには、多様な働き方を可能とする環境整備が重要である。2つ目は「規制改革・行政手続き簡素化・IT化の一体的推進」である。政府は、行政の電子化が行政のみならず民間のコスト削減につながることも意識して取り組むべきであり、その過程で制度面の阻害要因があれば改革しなければならない。3つ目は「地方における規制改革」である。(1)自治体ごとの規制の差異を中央が把握し、必要に応じたベストプラクティスの横展開(2)自治体独自の規制改革――が必要である。現在、いくつかの自治体で地方版規制改革会議が設置され検討がなされている。規制改革を通じて、住民の利便性向上や企業の経済活動活性化につながることが望ましい。

【産業政策本部】

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