経団連は21日、「2015年度日本の国際競争力調査」結果を公表した。同調査は、日本企業の競争力やビジネス環境の充実度を競合する企業・国家との比較により把握し、適切な政策立案・実行に供することを目的に、今年3月から4月にかけて会員企業を対象に実施し、278社の回答を得て取りまとめたもの。調査結果の概要は次のとおり。
■ 日本企業の国際競争力
グローバル市場における自社の競争力の現状評価は、「高い競争力を有している」との回答が約4割に達し、3年後の競争力の見通しについては、「現状より高くなっている」との回答が6割以上に上った。
また、自社の強みは「製品・サービスの性能・品質」が約8割に達し、「研究開発・技術」「製品・サービスの企画・設計」と続いた。一方、自社の弱みとして多く指摘されたのは「マーケティング・販売」「製品・サービスの開発・生産コスト」となり、この傾向は昨年度と同様の結果となった。
今後は、「新製品・サービスの開発」「人材の育成・獲得」「海外展開」「M&A」「ビジネスモデルの変革」を通じた競争力強化に向けた取り組みに注力する姿勢がうかがえる。
■ 日本のビジネス環境
日本のビジネス環境の外国との比較については、アメリカとの比較では多くの項目で劣ると評価されており、ドイツとの比較では同水準とする回答が多く、ASEAN諸国との比較では優位にあるとの回答が多くなっている。
今後必要なビジネス環境の改革では、「税負担」「規制」「労働の柔軟性」が上位となり、加えて「高度人材」「外国人の受け入れ体制」が指摘された。しかし、これらの項目はいずれも、3年後には「改善する」と見通す回答が多く、「悪化する」との見通しは極めて少ない結果となった。
■ 次世代技術の活用
次世代技術の利活用が競争力に影響を与えると考えている企業は、製造業、非製造業ともに約9割に上っている。一方、すでにビジネスに活用している企業は約4割にとどまっている。
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経団連では今回の調査結果も踏まえ、企業の競争力強化に資する課題について検討を深めるとともに、引き続きわが国および企業のビジネス環境の状況や競争力の把握に努めていく予定である。
【産業政策本部】