経団連(榊原定征会長)は2日、東京・大手町の経団連会館で定時総会を開催した。総会には経団連の会員代表者ら約470名が出席した。岡本毅・東京ガス会長、小林健・三菱商事会長、石塚邦雄・三越伊勢丹ホールディングス会長、國部毅・三井住友銀行頭取の4名が新たに副会長に就任。2015年度事業報告および決算が報告されたほか、新体制を決定するとともに、2016年度事業方針および収支予算を承認した。
■ 安倍首相が来賓あいさつで経済対策実施を表明
総会には、安倍晋三総理大臣、麻生太郎副総理・財務大臣、石原伸晃経済再生担当大臣、岸田文雄外務大臣、塩崎恭久厚生労働大臣が来賓として出席。
安倍首相は、現下の企業収益や雇用情勢などアベノミクスの確実な成果を挙げる一方、世界経済の下振れリスクを指摘。G7伊勢志摩サミットにおける首脳合意を踏まえ、総合的かつ大胆な経済対策を講じるとの方針を示し、構造改革の断行と民間投資の喚起を図るとした。そのうえで、消費増税は再延期するが財政健全化の方針に変更はないとして、「骨太の方針」「日本再興戦略2016」「ニッポン一億総活躍プラン」の取りまとめと実行、第4次産業革命の実現に向けた産業政策の抜本改革等、経済最優先で取り組むと述べた。
続いて、石原経済再生担当大臣は、GDP600兆円経済への成長戦略、そして成長と分配の好循環の実現に取り組むと述べ、第4次産業革命の実現などに向け「官民戦略プロジェクト10」を核に取り組みを進めるとした。
また、岸田外務大臣は、経済外交を日本外交の三本柱の1つに位置づけて取り組んでいると述べ、特にTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の早期発効と参加国・地域の拡大、日EU EPA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日中韓FTA等の経済連携交渉を精力的に進めるとの決意を示した。
最後に、塩崎厚生労働大臣は、財政健全化における社会保障制度改革の重要性を述べたうえで、3年連続のベア実施などの企業取り組みに触れつつ、非正規労働への対応、働き方改革の推進などへの協力を求めた。
■ 総会あいさつ
開会にあたり榊原会長は、消費増税の再延期という安倍首相の決断について、日本経済を再びデフレに戻さない、経済再生を最優先するといった強い決意を示したものとの認識を示し、経団連として決定を尊重したいと述べた。そのうえで政府には、600兆円経済の実現と2020年度の財政健全化目標の達成、景気浮揚のための経済対策の早期策定と実行を求めた。
続いて、賃金引き上げにかかわる呼びかけ、法人実効税率の引き下げの実現、TPP協定の早期妥結に向けた働きかけ、米国ミッション派遣やアジア諸国の閣僚会談等を通じた経済外交の推進、B7サミットの共同提言取りまとめとG7伊勢志摩サミット首脳宣言への反映など、これまでの活動成果を紹介した。
そのうえで、デフレ脱却と経済再生の確実な実現に向け、経済外交、財政健全化および社会保障分野の抜本改革、女性の活躍推進等、政治との連携を強化しつつ、優先課題に取り組むとの決意を示した。
【総務本部】