経団連は5月24日、東京・大手町の経団連会館でサティア・ナデラ米マイクロソフトCEOとの懇談会を開催した。懇談会には経団連の情報通信委員会と未来産業・技術委員会から約140名が参加し、デジタル化によるビジネス革新や急増するサイバー攻撃への対策など幅広いテーマについて意見交換を行った。ナデラCEOの発言の概要は次のとおり。
■ マイクロソフトのミッション
世界中のあらゆる人や組織の能力が向上し、より多くを達成できるようなプラットホームを構築することがマイクロソフトのミッションである。「なぜマイクロソフトが世界に存在する必要があるのか」と繰り返し考え、社内外にアナウンスし続けることで浸透を図っている。
■ デジタル革命
昔から語ってきたことだが、世界ではデジタル革命が進行している。ビジネスへのITの活用は決して目新しいことではない。しかし、製造業や小売業を含めたあらゆる業界は、デジタルのプラットホームを構築する側になりつつあり、ビジネスモデルの変革を日々考えなければならない。
■ サイバー攻撃への対応
技術の進歩と同時に、サイバー攻撃の脅威が増している。IoT(Internet of Things)により、あらゆるモノがインターネットにつながる世界では、エアコンなどの家電でさえもサイバー攻撃の入口になりうる。マイクロソフトとしては、プライバシー、セキュリティー、透明性、コンプライアンスの4原則を重視している。日々の業務のなかで原則を守らなくてはならない。同時に、業界全体が連携して技術開発やインテリジェンスの共有に取り組むことも必要である。
■ 世界の複雑性への対応
世界中にサービスを提供していくにあたっては、各国の規制や地政学的要素といった複雑性を相手にしなければならない。データ流通の規制が成長機会を阻害することを訴えると同時に、デジタル主権の尊重とのバランスを取る必要がある。マイクロソフトがあらゆる国で要件を満たし認定を取得しているのは、現地の規制へのコミットメントの証である。
■ TPP(環太平洋パートナーシップ)について
国境を越える取引を促進するTPPには賛成している。デジタル時代のニーズを満たすためには、貿易協定に「デジタル章」を含めることが必須である。いかにインターネットを分断することなく、プライバシーとデジタル主権を尊重するかが重要である。日米両国がリーダーシップを発揮するべきである。
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懇談会の最後に、武山芳夫情報通信委員会企画部会長は、日米産業界による共同声明を発表してきた日米インターネットエコノミー政策対話の活動に触れ、日米産業界のさらなる連携強化に期待を示した。
【産業技術本部】