経団連は19日、「公的統計の改善に向けた提言」を公表した。わが国の経済社会を取り巻く環境が変化するなか、公的統計の改善に向けた機運が高まっている。今年3月には、政府の統計委員会が経済財政諮問会議からの検討要請を受け、統計改善に向けた報告書を取りまとめた。
他方で、家計、企業におけるプライバシー意識や情報管理意識の高まり、政府における統計予算・人員の減少等により、統計調査をめぐる環境はますます厳しくなっている。
こうした背景、ならびに会員企業を対象とするアンケートの結果を踏まえ、経団連として次の4つを提言している。
【提言1】 統計の質の向上に向けて
限られたリソースのなかで、統計の質を向上させるには、技術的な対処だけでは限界があり、官民を挙げた取り組みが必要となる。
行政記録情報やビッグデータなど従来の統計調査以外の情報源の活用や、統計調査を担う民間事業者の育成と活用が求められる。
【提言2】 統計の報告者の視点から
企業は統計調査等に積極的に協力することが必要である一方、その協力を円滑に引き出すには、報告者負担の軽減が欠かせない。しかし、今回のアンケート結果では、依然として、統計調査の重複、無駄に対し、負担を感じる企業が多いことが明らかになった(図表1参照)。
報告者負担の軽減に向けた体制整備として、企業の基本情報に関する府省間共通のデータベースの整備や、企業向けの統計全体を企画・立案・調整する「司令塔」機能の強化等が必要である。
【提言3】 統計の利用者の視点から
アンケート結果によると、企業では景気動向を把握する目的での統計の利用が多い一方で、データの使い勝手の改善や時系列データの充実を求める声も多くあった(図表2参照)。
公的統計の幅広い活用促進に向けては、こうした利便性の向上に加え、匿名データの提供等に関する利用条件の緩和や周知の徹底も必要となる。
【提言4】 経団連における公的統計の改善に向けた取り組み等
統計委員会の報告書は、統計のステークホルダーのニーズを広く把握することの重要性に言及している。経団連としても、報告・利用の両面について、会員企業と関係府省担当者との意見交換の場を定期的に設けていく。こうした取り組みの集大成として、概ね5年に1度のペースで公的統計の改善に向けた提言を行っていく。
※提言の詳細は経団連ウェブサイトに掲載
【経済政策本部】