経団連は2月16日、経済法規委員会コーポレート・ガバナンス部会(内田章部会長)を開催し、金融庁の森田宗男審議官および東京証券取引所上場部の安井良太部長、渡邉浩司企画グループ課長から、金融庁と東証の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下、フォローアップ会議)における議論状況等について説明を聞き、意見交換を行った。
フォローアップ会議は、政府の成長戦略「『日本再興戦略』改訂2015」のなかで、スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)について、積極的にその普及・定着を図る必要があるとされたことを受けて設置されたものであり、昨年9月から議論が開始されている。
金融庁と東証の説明の概要は次のとおり。
1.企業のCGコード対応状況(東証説明)
東証はCGコードへの対応状況について、昨年12月末までにコーポレート・ガバナンス報告書を東証に提出した上場企業1858社を対象に整理・分析した。
CGコードで示された73の原則について、すべて「実施」とした企業は全体の11.6%、その他の会社でも原則の90%以上を「実施」している企業は66.4%に上り、多くの企業がほとんどの原則を実施している。
一方、CGコードは、コンプライ・オア・エクスプレインのアプローチを採用し、「実施しない」場合にはその理由の説明が求められるところ、説明の比率が高かった原則は、補充原則4-11(3)(取締役会による取締役会全体の実効性に関する分析・評価、結果の概要の開示)、補充原則1-2(4)(議決権の電子行使のための環境整備、招集通知の英訳)などである。前者は、わが国の企業にはなじみが薄いこともあり、今後実施予定とする説明が多かった。後者は、自社に外国人株主が少ないことから、実施予定はないと説明する会社が多かった。今後も企業の開示状況をもとに、CGコード対応をフォローアップしていく。
2.フォローアップ会議の検討状況(金融庁説明)
フォローアップ会議は、昨年10月に意見書をまとめ、その時点での企業のCGコードへの対応状況を評価するとともに、ガバナンス体制の強化が形式だけではなく、実質を伴ったものとなっているかなど今後の検討の観点を示し、さらに議論を重ねるべき論点を示した。その後、特に重要とされたCEOの選解任や取締役会の構成・運営、実効性の評価については、近く意見書の第2弾を取りまとめる予定である(上記意見書は2月18日に公表)。
<意見交換>
その後の意見交換では、委員から「投資家との対話を活かし、第三者の観点から自らを見直すきっかけとしたい」などの意見や「実質を伴っているかをどのように判断するのか」との質問が出された。これに対し森田審議官は、「各企業が企業価値向上に向けた自らの取り組みについてよく考え、そうした取り組みを、横並びではなく、わかりやすく開示することが重要だ。例えば社外取締役についても形式的に人数を増やすだけではなく、適切な人材を選任することも大事」と回答した。
【経済基盤本部】