経団連(榊原定征会長)は2月10日、東京・大手町の経団連会館でペドロ・シルヴァ=ペレイラ欧州議会議員と懇談した。欧州議会はEUが締結するFTAの批准権限を有しており、シルヴァ=ペレイラ議員は欧州議会国際貿易委員会において日EU EPAの報告者を務めている。懇談にはヨーロッパ地域委員会の佐藤義雄委員長、石塚博昭委員長、清水章企画部会長らが出席し、EPA交渉の現状と展望や日EU間の規制協力をめぐり意見交換した。
経団連側からは、わが国産業界が引き続き日EU EPAの早期実現を期待していることを強調し、TPP(環太平洋パートナーシップ)、日EU EPA、TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)という日米欧3極によるメガFTAの推進を通じて、グローバルなルールづくりをリードする必要性について言及。日欧が認識を共有できれば、多少の困難は克服可能との見解を示した。
また、新興国のグローバル市場への進出を受けて、スピーディーなルールづくりが急務となっていることを指摘した。さらに、規制協力の推進はグローバルなルールづくりに寄与するものであり、これを日EU EPAのなかにきちんと規定し制度的基盤を確かなものにする必要があると述べた。
シルヴァ=ペレイラ議員は、2015年中に日EU EPA交渉が合意に達しなかったのは残念とする一方、欧州議会が目指す「野心的かつバランスの取れた」協定の締結に向けて、今後、交渉を大きく進展させることは可能との見方を示した。17年には欧州主要国で選挙が予定されていることから、「機会の窓」が開くのはおそらく16年後半であり、それまでに交渉を着実に進めておく必要があると指摘した。
また、同議員は、規制協力についてはその重要性を認識しており、既存の非関税措置だけでなく将来の非関税措置への対策としても有用と指摘し、経団連が提言のなかで個別分野の優先協力事項に踏み込んでいることを評価した。
さらに複数のセクターで実施されている日欧産業間対話は、相互理解を深めるうえで大きな成功を収めているとの認識を示した。
なお、同議員から、現行のISDS(投資家対国家の紛争解決)条項に代わるEUの新提案(投資裁判所制度案)の重要性が指摘された。
【国際経済本部】