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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年12月3日 No.3249 水・大気環境行政の重要課題等を聞く -環境安全委員会環境リスク対策部会

経団連は11月13日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会環境リスク対策部会(梶原泰裕部会長)を開催した。環境省の高橋康夫水・大気環境局長から、水・大気環境行政の重要課題等について説明を聞くとともに、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

■ 生活環境項目環境基準等の見直し

環境基準は、環境基本法に基づき、維持されることが望ましいとされる基準であり、水環境の状況を表し、対策に結びつける役割を担っている。生活環境項目環境基準は徐々に改善の傾向がみられるが、貧酸素水塊の発生や藻場、干潟等の減少、水辺地の親水機能の低下等の課題が残されている。これらの課題に対応するため「底層溶存酸素量」および「沿岸透明度」に着目し、生活環境項目の追加等について、学識経験者からなる専門委員会で検討を行った。

その結果、底層溶存酸素量は環境基準、沿岸透明度は環境基準ではなく、「地域環境目標(仮称)」として地域の合意形成により設定するとの専門委員会報告がまとめられ、近々答申の予定である。

■ 第8次水質総量削減のあり方

水質総量削減とは、閉鎖性海域の水質汚濁を防止するために汚濁負荷量を削減する制度で、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海(大阪湾含む)で5年ごと、7次にわたって実施されてきた。

今年11月には、第8次水質総量削減のあり方について、専門委員会報告が取りまとめられた。具体的には、大阪湾では、窒素、りんの環境基準の達成状況を勘案し、特に有機汚濁解消の観点から水環境改善を進める。大阪湾を除く瀬戸内海は、現在の水質が悪化しないよう必要な対策を講じる。東京湾と伊勢湾は、環境基準達成率が低く、今後もこれまでと同様に水環境改善を進める。

■ 生物応答を利用した排水管理手法(WET)

生物応答を利用した排水管理手法(WET)は、化学物資の水環境への影響や毒性の有無を総体的に評価する手法であり、水生生物に影響を及ぼすおそれがある化学物質について、効率的に予防的措置を取ることができると考えられる。

近く、同手法の活用に関する基本的な考え方を整理した報告書を取りまとめ、広く国民から意見を求める。一定の結論を得るに至っていない事項は検討課題として記載する。今後、産業界や自治体の意見を聞きながら検討を深めていく。

■ 土壌汚染対策法の見直し

今年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」で、工業専用地域における形質変更時の届出要件の見直し、自然由来物質にかかる規制の見直しについて、2015年度に検討を開始し、16年度に結論を得ることとされている。今秋から具体的な検討に着手している。

◇◇◇

その後の意見交換では、「環境省は、科学的知見をもとに環境問題の原因や対策について議論を行い、産業界に過大な負荷がかからないように配慮すべき」「WET手法の導入については課題が多く、慎重に検討すべき」「土壌汚染対策法の見直しを着実に実施すべき」などの意見が出された。

【環境本部】

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