経団連(榊原定征会長)は11月1日の日中韓首脳会談にあわせ、中国国際貿易促進委員会(貿促会)、韓国の全国経済人連合会(全経連)と共に、ソウルで第5回日中韓ビジネス・サミットを開催した。同ビジネス・サミットは、2009年10月の第2回日中韓首脳会談にあわせて貿促会が経団連と全経連に共催を呼びかけたことにより始まったもので、今回は全経連が幹事を務めた。当日は、経団連から榊原会長はじめ159名、貿促会から姜増偉会長はじめ142名、全経連から許昌秀会長はじめ162名が出席した。概要は次のとおり。
今回のビジネス・サミットは、3年半ぶりに日中韓首脳会談が開催されるなか、経済界でも3国協力の深化のあり方を探るべく開催された。開会あいさつでは、主催者を代表し許昌秀会長が「これまでの3カ国は、製造業中心の分業構造を介してお互いの成長を牽引してきたが、グローバルな低成長時代という新しい環境を迎えた状況で3カ国の協力方式も新たに変わらなければならない」と3カ国の協力深化の必要性を強調した。その後行われた日中韓三団体のMOU(覚書)締結式では、日中韓間の通商関係や技術・産業協力を発展させるため、経済情勢や税制、投資・貿易政策、法制度に関する情報を交換することなどに合意した。
続くセッション1では、「低成長時代の新たな挑戦と機会」をテーマにパネルディスカッションを行った。経団連からは内山田竹志副会長が参加し、「技術革新を通じて持続的な成長を推進していかなければならない」として、生命科学、情報通信などの分野における3カ国間の協力の重要性を強調。セッションを通じ、科学技術イノベーション分野での協力促進とともに、東アジアのGDPの7割を占める日中韓の間で、包括的で質の高いFTAを早期実現することの重要性を確認した。
セッション2では、「アジア地域のインフラ開発」をテーマにパネルディスカッションを行った。経団連からは飯島彰己副会長が参加し、「アジア地域全体の底上げという観点からは、それぞれの得意分野を持ち寄ることにより、相互に協力することでビジネスチャンスを拡大する余地はまだまだ大きい」と指摘。セッション全体を通じ、第三国市場での協力の可能性も含め、官民連携のもと、質・量の両面でインフラ整備を促進することで意見が一致した。
最後に、首脳会談を終えた安倍晋三総理大臣、李克強国務院総理、朴槿惠大統領が3団体長とともに登壇し、首脳会談では、日中韓FTAの早期妥結をはじめ、経済的連携を進めていくことで意見が一致したとの報告がなされた。
来年の日中韓ビジネス・サミットは、日本で開催予定の日中韓首脳会談にあわせて経団連が幹事団体となり開催する。
【国際協力本部】