経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で観光委員会(冨田哲郎委員長、菰田正信委員長)を開催。田村明比古観光庁長官から、わが国の観光の現状と今後の方向性について説明を聞くとともに、種々懇談した。
冒頭、田村長官は、わが国の観光の現状について、2015年の訪日外国人旅行者数が1900万人に届く勢いで推移し、その消費額も拡大するなど好調である一方、国内旅行の動向は、宿泊旅行、日帰り旅行ともに最近は横ばい傾向にあり、特に消費増税の影響を受けた14年には減少していると指摘。わが国の観光全体の9割を占める国内旅行の活性化が課題であるとした。
続いて、観光立国実現に向けた政府の取り組みである「アクションプログラム2015」について説明。なかでもビザ発給要件の緩和、消費税免税店の拡大、出入国手続きの迅速化に向けた体制強化などインバウンドへの対応に加えて、広域周遊ルートの形成支援、日本版DMO(Destination Marketing / Management Organization)の推進、被災地の復興支援など国内観光の振興に向けた取り組みを強化すると表明した。さらに、地方支分部局や都道府県、関係事業者等で構成される地方ブロック別連絡会等を活用し、地域ごとの課題の抽出と問題解決に力を入れると述べた。
今後の展開について田村長官は、何年までに何万人という数値目標を超えて、次のステージを考えるべき段階であり、訪日外国人旅行者3000万人時代を念頭におき、受け入れ体制の強化を図るべきと強調した。具体的には、外国人旅行者のリピーターを確保していくための中長期的な戦略として、宿泊施設など観光関連産業への投資拡大、観光を担うサービス産業の生産性向上、通訳案内士制度の見直しや地域ガイドの導入の検討、文化財等の保存と観光商品化、観光関係諸施策のための財源確保等に、政府全体として取り組む必要があると指摘した。
<意見交換>
その後の懇談で、委員から民泊に関する意見を求められると「宿泊施設の供給量、旅行者の幅広いニーズへの対応といった観点から、民泊は一定の方向で緩和することが必要。ルールを定め、管理できる体制の構築が必須。早急に検討を進める」と応じた。
田村長官との懇談後、委員の間で同委員会の今後の活動方針および観光分野における規制改革要望案について、意見交換を行った。
【産業政策本部】