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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年10月1日 No.3240 「COP21に向けた気候変動交渉の展望と課題」 -21世紀政策研究所・澤研究主幹が常任幹事会で講演

講演する澤研究主幹

経団連は9月2日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催し、21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹から、「COP21に向けた気候変動交渉の展望と課題」と題する講演を聞いた。
講演の概要は次のとおり。

■ 温暖化対策の歴史

1997年に採択された京都議定書は、国ごとにトップダウンで削減目標が設定され、目標未達の場合には罰則が課せられる仕組みとなっている。しかし、削減義務は先進国にしかなく、また、米国は批准していない。そのため、京都議定書は、世界の温室効果ガス排出量の13.5%しかカバーできず、実効性に乏しいものであった。

こうした状況を踏まえ、2010年のCOP16(於カンクン)において、各国が自主的に2020年の目標を登録し、その達成状況を相互検証するボトムアップ型で罰則のない仕組み(世界の温室効果ガス排出量の85%をカバー)が合意された。この仕組みは、温室効果ガス排出削減やエネルギー効率の向上に大きな成果を挙げてきた経団連の「環境自主行動計画」「低炭素社会実行計画」と非常に似たものである。

2020年以降の新たな国際枠組みについては、今年11月30日~12月11日に開催されるCOP21(於パリ)において合意することが目指されている。すべての国がCOP21に十分先立って自主的に決定する約束草案を示すことが招請されており(ボトムアップ・アプローチ)、日本は、先般、2030年に2013年比26.0%削減するという約束草案を国連に提出した。

■ COP21に向けた国際交渉

2020年以降の新たな国際枠組みには、中国・インドなどの途上国を参加させることが何よりも重要である。排出量で多くの割合を占める途上国が参加しなければ、地球温暖化問題を解決することはできない。また、削減目標の義務化や、先進国と途上国の制度上の差別化といった議論が依然としてあるが、これは米国や中国の離反を招くだけである。

京都議定書に合意したものの、議会の反対により批准しなかった米国については、政治状況を注視する必要がある。新たな枠組みへの日本の批准は、米国が合意を実行する蓋然性を見極めてからにすべきである。

また、ボトムアップ型の国際枠組みが合意されようとしている今、「環境自主行動計画」や「低炭素社会実行計画」による日本の成功経験を積極的に発信していくべきである。

さらに、JCM(二国間クレジット)やICEF(エネルギー・環境技術版ダボス会議)等を通じ、日本の強みである低炭素技術の世界レベルでの普及や革新的技術の開発を実現することで、温暖化問題の抜本的解決に貢献することが重要である。

■ 新たな国際枠組みのもとでの国内対策

ボトムアップ型の新たな枠組みのもとでの国内対策は、民間の自主的な取り組みを後押しすることを基本方針とすべきである。

また日本は、約束草案の根拠となったエネルギーミックスを実現しなければならない。エネルギーミックスで描いた電源構成は多くの課題を解決しなければ実現するものではない。エネルギーミックスの実現に向け、着実に施策を進める必要がある。ただし、内外の環境の変化に応じてエネルギーミックスを再検討する場合は、約束草案も柔軟に見直すべきである。

【総務本部】

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