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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年8月27日 No.3236 廃棄物・リサイクル行政の動向聞く -環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会

経団連は7月30日、東京・大手町の経団連会館で廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催した。環境省の鎌形浩史廃棄物・リサイクル対策部長から、廃棄物・リサイクル行政の動向について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 災害廃棄物の処理および今後の対策

現在、今後発生が想定される南海トラフ巨大地震や首都直下地震に向けた災害廃棄物対策の強化を検討している。

今般、災害により生じた廃棄物について、適正な処理と再生利用を確保したうえで円滑かつ迅速に処理をするための法整備を行った。また、平時から災害発生時に向けた関係者間の連携・協力を推進するため、有識者や民間事業者団体等からなる人的な支援ネットワーク「D.Waste-Net(災害廃棄物処理支援ネットワーク)」を今年夏に設立する予定である。

■ 水銀廃棄物対策

2013年に採択された水俣条約の批准に向け、国内の水銀廃棄物対策について検討を進めており、近く廃棄物処理法の施行令、施行規則等の改正を行う予定である。具体的には、金属水銀はこれまで有価物として取り扱われてきたが、今後、条約による水銀の使用制限に伴って、廃棄物として取り扱われる可能性が高くなることから、廃金属水銀を特別管理廃棄物とし、処理基準を設定する方針である。

■ 廃棄物処理法の点検・見直し

来年4月に、2010年改正廃棄物処理法の施行後5年を迎えることから、15年度は廃棄物処理法の施行状況等調査を実施する。その結果を踏まえ、今後中央環境審議会等において、有識者・関係団体等も交えて廃棄物処理法の点検・見直しの検討を行う予定である。

■ 不法投棄等による支障除去等基金のあり方

不法投棄や不適正処理については、生活環境保全上の支障を除去するために、行為者が原状回復を行うことが原則であるが、行為者が不明あるいは資力がない場合には、都道府県等が代執行により支障除去等事業を実施することになる。同事業に対し、これまで国の補助に加え産業界の資金協力も得て、基金を通じた支援を行ってきた。

同事業への支援のあり方についてはかねてより議論があり、今年4月、「支障除去等に対する支援に関する検討会」を発足させ、必要性や妥当性も含めて基金制度のあり方について検討を行ってきた。

検討の結果、産業界による基金への資金負担の仕組みを見直す方向である。具体的には、産業界の理解と協力のもと、社会貢献の観点から、産業廃棄物に関係する方に広く薄く協力を求めるとの考え方に立ち、産業廃棄物の排出から最終処分に至るまでマニフェストが幅広く利用されていることに鑑み、マニフェストの頒布を行っている団体等に対して、必要な協力を求める方向で関係者との調整を進めている。

◇◇◇

その後の意見交換では、「不法投棄・不適正処理の撲滅に向けて、行政としてしっかり取り組んでいただきたい」「かねてより産業界が基金に社会貢献の観点から協力していることについて、国民に周知いただきたい」などの意見が出された。検討会で示されている支障除去等基金の今後のあり方については、概ね理解が得られた。

【環境本部】

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