経団連は7月16日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会企画部会(武山芳夫部会長)を開催し、内閣官房IT総合戦略室の濱島秀夫内閣参事官らから、今年6月に改定された政府IT戦略「世界最先端IT国家創造宣言(以下、「創造宣言」)」の改定内容等について説明を聞いた。概要は次のとおり。
■ 世界最先端IT国家創造宣言の改定について
第68回IT総合戦略本部会合が安倍総理出席のもと6月30日に開催され、創造宣言の改定を決定、同日に閣議決定された。今回の改定は、2013年に創造宣言が策定されて以来、この2年間に進められたIT利活用基盤の整備、すなわち政府情報システムの統廃合とクラウド化等の推進やマイナンバー制度の導入と利活用に資する取り組みの推進、個人情報保護法の改正法案の国会提出等を踏まえ、わが国として、世界の範たる課題解決型IT利活用モデルを構築することを基本理念に据えて、行われたものである。
ⅠT利活用によって目指すべき社会の姿として、(1)未来に向けて成長する社会(2)まち・ひと・しごとの活性化による活力ある社会(3)安全・安心・豊かさが実感できる社会(4)公共サービスがワンストップで受けられる社会――という4つの柱を打ち出し、その実現に向けた取り組みを示すことにより、ITによる社会変革のための戦略とした。
具体的な取り組み内容としては、防災・減災、医療・介護、電子行政サービスに加え、今回新たに地方創生IT利活用促進プランの推進や安全・安心を前提としたマイナンバー制度の活用等を取り入れ、いつまでにどの府省が行うかを明確にした工程表を作成した。的確なPDCAを実施しながら、国民一人ひとりがITの恩恵を実感できる世界最高水準のIT国家に向けて邁進していきたい。
■ 新たなオープンデータの展開に向けて
第68回IT総合戦略本部会合では、わが国のオープンデータの今後の新たな展開に向けた基本的な考え方や重点的に取り組むべき事項に関する戦略「新たなオープンデータの展開に向けて」も決定された。オープンデータ推進の意義として、官民協働による公共サービスの実現は特に重要であり、複数の行政機関や民間のデータを組み合わせることで、子育て、教育、医療、福祉などの身近な公共サービスの質的な向上や、災害時において迅速に複数の情報を組み合わせた情報発信が可能になる等の効果が期待されている。
これまでのオープンデータへの取り組みは、公共データの公開や二次利用ルールの検討を中心としていたが、今後はこれに加え、ニーズを意識しながらのデータの利活用促進へと発想を転換させていく。あわせて、課題解決型のオープンデータの推進や、各府省庁での重要施策の検討にあたっての課題発見・解決の手段としてのオープンデータの活用を検討していく。
【産業技術本部】