経団連の教育問題委員会企画部会(三宅龍哉部会長)は6月17日、品川女子学院中等部・高等部(東京都品川区)を訪問、漆紫穂子校長から、グローバルに活躍できる女性リーダー育成への取り組みや企業とのコラボによるキャリア教育の目的などを聞き、同校の教育プログラムを見学した。
■ 社会で活躍する女性を育てる「28Project」
漆校長はまず、同校の建学精神にある「社会で必要とされる力を持った女性を育てる」ためには、高校卒業後10年間を見据えた進路指導が重要と指摘し、「28歳は仕事で社会に貢献できるようになるとともに、プライベートでも結婚等節目を迎える重要な時期であり、その時に周囲と協力しながら自らの可能性を広げていける女性を育成していくのが『28Project』のねらい」と説明した。また、「起業マインド」を持った女性グルーバルリーダーを育成するため、「失敗」や「揉め事」を学生時代にきちんと体験させることや、(1)問題発見力(2)共感力(3)発信力(4)内省力(5)英語プレゼン力(6)英語コミュニケーション力――を伸ばす授業や学校活動が重要との考えを示し、生徒が企業と一緒に商品やサービスを開発する「企業コラボレーション」や社会で活躍するスペシャリストを招いて行う「特別講義」、茶道、華道、着付けなど日本人のアイデンティティーを伝統文化から学ぶ授業を紹介。こうした教育には社会との連携が不可欠であることから、「学校という1つのプラットフォームを活用して社会の力を子どもたちの教育に向けていくことを大事にしたい」と語った。
「人生のミッション発見のためにどのような教育をしているのか」との参加者からの質問には、「まずは問題意識、社会への貢献意識を持たせること。自分が好きなことを見つけ、そのキャリアに向け今何をすべきかとの意識を持つことが勉強に対するやる気も変える。28歳に向けたライフデザインを描くことで各自のミッションを見つけているようだ」と答えた。
■ 生徒が会社設立 ~文化祭を通じて起業を学ぶ
訪問当日は、ベンチャー企業代表や税理士、会計士らをコメンテーターに迎え、9月に開催される文化祭に向けた投資家向けプレゼンテーションが行われた。「28Project」の一環であるこの起業体験プログラムは、高等部1・2年の生徒たちが文化祭の模擬店を「企業」として企画し、実際の起業と同様の手順で株式会社を設立していくもの。コラボレーションをしたい企業と直接会って打ち合わせをし、利益がどのように出るかを損益分岐点で示した事業計画書を作成・提出。会社登記や文化祭当日の販売を経て、最後に株主総会を開き会社解散までを体験する。
投資家を募るためのプレゼンテーションでは、学生たちの熱心な事業計画の説明が続き、コメンテーターらとの間で販売方法の問題点など出資判断に関わる細かな質疑応答が行われていた。
【教育・スポーツ推進本部】