■ 改訂の経緯
経団連では、2007年2月に、会社法施行を契機に旧商法のもとでの「経団連ひな型」を全面的に刷新した「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(以下「ひな型」)を公表し、その後も、随時改訂を重ねている。
こうしたなか、5月1日に施行予定の「会社法の一部を改正する法律」(以下「改正法」)および、「会社法施行規則等の一部を改正する省令」、企業結合に関する会計基準等の改正等を踏まえ、4月10日に改訂版のひな型を公表した。
ひな型の改訂点は多岐にわたるため、本号を含め5回に分けて、改訂のポイントを紹介する。本号では、改正省令に基づく会社法施行規則の改正に伴うもののうち、事業報告に関する改訂点(上)について紹介する。
■ 事業報告(上)
(1)責任限定契約に関する事項
責任限定契約に関する事項については、従来、社外役員に関する記載事項として整理されていたが、改正法により社外役員であるか否かにかかわらず、業務執行取締役等を除く取締役および監査役全般が責任限定契約を締結することができることとなった(会社法第427条第1項)。そこでひな型(Ⅰ事業報告の第2の4-7)では、責任限定契約に関する事項を会社役員一般に関する事項として整理し、事業報告作成会社が取締役または監査役との間で責任限定契約を締結している場合には、契約の相手方とともに、当該契約の内容の概要を記載することとしている。記載の方法としては、会社役員に関する事項に注記する方法や、責任限定契約に関する事項として、別項目を立てて記載する方法が考えられる。
(2)社外取締役を置くことが相当でない理由
改正会社法施行規則では、事業報告作成会社が事業年度の末日において、(1)公開会社である監査役会設置会社(大会社に限る)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものであること、および(2)社外取締役を置いていないことの要件に該当する場合には、当該事業年度にかかる事業報告の「会社役員に関する事項」として「社外取締役を置くことが相当でない理由」を記載することを求めている(会社法施行規則第124条第2項、第119条第2号)。ひな型(Ⅰ事業報告の第2の4-18)では、この点の記載について具体的な記載例を設けてはいないが、記載にあたっては、会社法施行規則第124条第3項を踏まえ、当該事業報告作成会社の当該事業年度における事情に応じて記載しなければならず、かつ社外監査役が2名以上あることのみをもって当該理由とすることはできないとしている。
※ひな型全体および前回改訂版との新旧対照表は、経団連ホームページ( http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/035.html )からダウンロードすることができる。
【経済基盤本部】