経団連の産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会(依田巽部会長)は3月12日、都内で同ジャパン・ブランド部会、知的財産委員会企画部会、同著作権部会との合同で内閣官房知的財産戦略推進事務局との懇談会を開催し、横尾英博事務局長から知的財産戦略をめぐる現状と課題について説明を聞いた。
横尾氏は、「知的財産戦略は政府全体の成長戦略の要」と述べたうえで、「知的財産推進計画2014」のなかで重点5本柱として掲げた(1)職務発明制度の抜本的な見直し(2)営業秘密保護の総合的な強化(3)中小・ベンチャー企業等の海外知財活動支援(4)コンテンツ海外展開促進とインバウンドとの連携(5)アーカイブの推進――について、今年度の対応状況を説明した。また、15年の取り組みとして、今年1月に発足したクールジャパン戦略推進会議との連携によるコンテンツの海外展開の促進やクールジャパン戦略の深化、知財紛争処理システムの見直しによる特許権等の知財の価値と安定性の向上に向けた計画などについて説明した。
その後の懇談では、とりわけ産業財産権分野について、特許を受ける権利をはじめから法人帰属とすることを可能とする特許法の改正法案、営業秘密の不正な取得・使用に対する罰則を強化する不正競争防止法の改正法案が、今通常国会へ提出されることについて、堤和彦知的財産委員会企画部会長ら複数の参加者から、知的財産戦略本部の尽力に感謝の意が表されるとともに、職務発明におけるインセンティブ決定手続きのガイドライン策定にあたって、実務面での十分な考慮がなされるよう要望が出された。
また、グローバル化のなかで特許紛争リスクが高まっていることを指摘する意見が相次ぎ、知的財産戦略推進事務局に対して、特許庁等とも連携し、知財が適切に保護されるよう、仕組みの見直しを求める声が挙がった。コンテンツの海外展開促進に向けては、権利処理のさらなる迅速化・明確化への対応が求められるとの指摘もあった。
依田部会長は、「わが国のさらなる成長に向けて、コンテンツ業界・非コンテンツ業界がクールジャパン機構やコンテンツの海外展開のためのローカライズ・プロモーションに対する助成等の政府の支援も活用し、ジャパン・ブランドを構築する必要がある」と述べるとともに、政府においては経済の長期的な発展に向け、予算確保を含めた継続的な施策が必要と指摘した。
【産業政策本部、産業技術本部】