経団連と中国経済連合会(中国経連、山下隆会長)は2月20日、広島市内で「第43回中国地方経済懇談会」を開催した。経団連から榊原定征会長はじめ審議員会議長、副会長らが、中国経連から山下会長はじめ会員約280名が参加。「中国地方の創生、そして豊かで活力ある日本へ」をテーマに意見交換を行った。また、懇談会後のパーティーには湯崎英彦広島県知事が出席し、参加者と懇談した。
開会あいさつで中国経連の山下会長は、地方創生の実現が重要課題として掲げられている今が、地方にとって大きなチャンスであり、中国経連が中国地方の創生をリードしていくとの決意を表明。地域産業の競争力強化や広域観光の振興といった課題について、県域や組織を超えた取り組みが不可欠との認識を示した。
■ 活動報告
続いてあいさつした経団連の榊原会長は、年初に発表した経団連ビジョン「『豊かで活力ある日本』の再生」を説明。「豊かで活力ある日本」の再生に向け、経団連自身が積極果敢に行動するとの決意を述べるとともに、中国地方をはじめとする地方経済界と密接に連携していくことの重要性を強調した。
その後、
- (1)今次春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢(宮原耕治副会長)
- (2)2年間の実質減税となった法人税改革を含む平成27年度税制改正(佐々木則夫副会長)
- (3)TPP(環太平洋経済連携協定)をはじめとする経済連携の推進(勝俣宣夫副会長)
- (4)コーポレートガバナンス・コードの策定に向けた動き(奥正之副会長)
――をそれぞれ説明した。
■ 意見交換
その後の意見交換では、中国経連による11の問題提起に対し、経団連から、
- (1)地方における交通・物流基盤の整備には、街のコンパクト化を進め、雇用創出と人口維持を図ることが課題であり、拠点間をつなぐネットワーク整備がその成否を左右する(岩沙弘道審議員会議長)
- (2)広域観光の振興にあたり、訪日外国人旅行者の増加を地方経済活性化に波及させるには、免税を通じ、消費を地元で取り込む必要がある(大塚陸毅副会長)
- (3)イノベーションの推進に向けては、個社での所有が困難な神戸のスーパーコンピューター「京」など、大規模最先端研究施設の活用がカギとなる(大宮英明副会長)
- (4)明日の産業界を担う人材育成のため、経団連は、大学と連携したグローバル人材育成カリキュラムの実施、留学のための奨学金支給などを行っている(中西宏明副会長)
- (5)今後の環境政策の推進にあたり、優れた省エネ技術の世界への普及を通じ、地球規模でCO2削減に取り組むことがわが国の重要な役割(友野宏副会長)
- (6)地域課題解決に向けたICT(情報通信技術)の活用のため、課題を発見する感性を持ち、解決に取り組む使命感とコミュニケーション能力を持つ若手・中堅に活躍の場を与えることが重要(内山田竹志副会長)
- (7)製造業における新規事業の展開促進には、関係者の利害調整や目利きのできる人材を発掘し、しかるべき役割につけることが求められる(古賀信行副会長)
- (8)地方創生に向けた取り組みとして、各地方経済圏の担い手こそが、主体的に改革・戦略策定にかかわる必要がある(石原邦夫副会長)
- (9)将来的な道州制への移行を見据え、各地方が創意工夫を凝らした地域経営を実践できるよう、地方分権改革を推進すべき(畔柳信雄副会長)
- (10)少子化対策の推進にあたり、企業としても男性の育児休業取得促進など、ワーク・ライフ・バランスを推進する必要がある(斎藤勝利副会長)
- (11)企業の農業参入促進に向け、兵庫県養父市の取り組みなどを参考に、中山間地域における企業参入モデルを中国地方が創出することに期待(荻田伍副会長)
――などのコメントがあった。
【総務本部】