経団連(榊原定征会長)は2月17日に、提言「防災・減災に資する技術等の普及・開発促進に向けて」を公表、24日、防災に関する委員会の柄澤康喜共同委員長が山谷えり子内閣府特命担当大臣(防災)を訪問し、提言を手交。防災・減災技術等の有効な利活用により、災害に強い経済社会を構築していくことを求めた。
経団連は2011年の東日本大震災の発災以降、わが国経済社会の災害への対応力の強化、とりわけサプライチェーンを構成する企業間・地域内・業界内連携までを見据えた企業のBCP(事業継続計画)の実効性向上に向け、毎年提言を行ってきた。また、1月に公表した経団連ビジョン「『豊かで活力ある日本』の再生」においても、30年までに目指すべき国家像の実現に向け、防災・減災対策の推進を重要課題として位置づけている。
今年度については、10年に1度開催される国連防災世界会議が3月14~18日に仙台で行われることから、この機会をとらえ、わが国企業が有する防災・減災に資する技術・ノウハウ等を世界に発信することを主眼として、同提言を取りまとめた。
■ 提言の概要
提言では、全会員企業へのアンケートに基づき、わが国企業が有する防災・減災に資する技術等の現状を明らかにした。具体的には、防災・減災技術を、災害発生の前と後、そしてどの自然災害に対し有効かという軸により整理。技術概要計294件を掲載するとともに、特徴的な19件については、図表入りでコラムに紹介している。
そのうえで、防災・減災技術等の普及・開発促進に向けて求められる取り組みとしてまず、産学官連携を全国各地に構築することを挙げている。これにより、地域ごとの防災・減災技術等のニーズ・シーズに関する情報を共有し、イノベーションを喚起することが期待される。さらに、途上国のニーズを踏まえ、産学官連携により開発した防災・減災技術等を世界へ展開していくことも求められる。
次に、防災・減災技術等の利活用や開発を後押ししていくうえで、防災担当大臣のもと内閣府防災の司令塔機能をより一層強化していく必要性を指摘し、行政に求められる取り組みを3点挙げている。
1点目は、災害予測精度の向上や発生後の迅速な避難等に資する、情報のオープン・データ化等である。
2点目に、新材料・工法を展開できる実証実験の場の提供や実施手続き等の簡素化、耐震工法等の効果的活用に向けた各種規制の柔軟な適用等を掲げている。
3点目として、中長期的な防災・減災対策の目標を明示したうえで、緊急性の高い事業所・重要施設等の耐震化・防火工事や液状化対策について、優先順位づけのもと財政面等での支援策を講じるよう提言している。
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このように、各種自然災害の経験から培われたわが国企業の有する防災・減災技術は世界最高の水準にある。これらを、世界に発信し、国際社会の防災・減災への対応力向上に貢献していくことが求められている。経団連としても、あらゆる機会を通じ、わが国企業の防災・減災技術を国内外にアピールしていく。
※提言の全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/016.html 参照
【政治社会本部】