経団連の産業問題委員会ジャパン・ブランド部会(品田英明部会長)は2月17日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の保井俊之特別招聘教授から今後の産業政策のあり方を聞き、懇談した。
保井教授は、「ジャパン・ブランド序論~日本の『売り方』を考える=今後の産業政策と日本の『協創力』」と題して講演。世界各国の国家ブランド戦略の考え方の源流が、1990年代の英国における「クール・ブリタニア」政策(自国の持ち味を再定義し、クリエイティブ産業の振興をきっかけに経済復興)と、米ハーバード大学特別功労教授のジョセフ・ナイ氏が提唱した「ソフト・パワー」(文化やイデオロギーの魅力等から発生するポスト冷戦時代の国力)の二つにあると解説した。また、日本は、その文化的影響力の強さから、「クール・ジャパン」と海外からも称されたものの、「クール・ジャパン」の解釈が国内で拡散したため、日本の産業全体の競争力強化に必ずしも結びついてこなかったと指摘。今後、世界の顧客が求める「日本のコアの価値」=「ジャパン・ブランド」を産業競争力の中核として再設定すべきと訴えた。
さらに保井教授は、「日本のコアの価値」を考えるうえで、(1)サービス経済化の一層の進展(2)顧客視点の製品・サービスづくり(3)企業や「業」を超える製品・サービスの価値ネットワーク(4)SNSやウェブを活用した新しい資金調達の出現――といった近年のグローバル経済潮流を踏まえ、「日本の価値づくり」に資するイノベーションを官民挙げてつくり出す必要があるとした。
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保井教授との懇談後、産業問題委員会ジャパン・ブランド部会は、今後の活動計画を議論。2020年東京五輪という世界から注目が集まる機会を最大限活用し、日本の成長を実現するため、今年夏をめどにジャパン・ブランド強化に関する提言を取りまとめることとした。
【産業政策本部】