2008年に施行された改正容器包装リサイクル法(以下、容リ法)については、施行後5年を経た今年9月から、法の規定に基づき、中央環境審議会・産業構造審議会合同会合において必要な見直しに向けた検討作業が行われている。そこで、経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で容リ法に関する懇談会を開催し、政府審議会の委員を務める織朱實関東学院大学法学部教授から、容器包装リサイクル制度(以下、容リ制度)の課題と今後の展望について説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明概要は次のとおり。
■ EUの動向
わが国の容リ制度が参考とした欧州連合(EU)の例を概観したい。1994年の容器包装指令の制定当初、EUは容リ政策自体の推進に積極的であった。しかし現在では、域内単一市場の形成を重視し、新規加盟国への配慮等から、EU域内でのリサイクルの効率化というターゲットを定めつつも、個別政策は各加盟国に委ねるようになっている。
EUでは、家電、自動車と容器包装はリサイクル推進上、まったくの別物として扱われている。有害物質の含有など、環境負荷の大きな家電、自動車については事業者が個別責任を負うこととなっているのに対し、容器包装に関しては環境負荷が小さいことから、事業者の個別責任に基づく制度は合理的でないとされている。多くの加盟国で採用された拡大生産者責任(生産者が製品の生産設備だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという考え方)については、発生抑制や消費者の行動変化につながったかが明らかではないとされている。
全般的に、予防原則に基づく理念先行型の製品管理がEUにおける容リ政策の特徴である。
■ 日本の容器包装リサイクル制度のあり方
日本の容リ制度については、家庭からの廃棄物が中心であることや、自治体に分別回収責任があること、さらに自治体によって回収方法が異なること等が諸外国と異なる特殊性として挙げられる。
また、容器包装廃棄物の特色として、使用寿命の短さや全体量の少なさ、市民に身近でわかりやすいこと等が挙げられる。
これらを踏まえ、容リ制度のあり方を考えるにあたっては、廃棄物の特殊性に合った効率的なリサイクル手法はもちろん、発生抑制のための情報の流通、分別にかかわる市民の負担等の視点が重要である。
■ 容リ法改正に向けた論点整理
今後の容リ法見直しに際しては、容器包装の薄肉化・軽量化の推進や過剰包装の解消等の排出抑制策を議論するとともに、分別の高度化や市町村処理の効率化を促す観点から、市町村へのリサイクル合理化拠出金制度のあり方なども検討する必要がある。
【環境本部】