経団連(米倉弘昌会長)は2日、都内でアイルランドのエンダ・ケニー首相一行との懇談会を開催した。米倉会長、奥正之副会長、大宮英明副会長、中村芳夫副会長・事務総長らが出席した。
会議の冒頭、米倉会長から、日EU経済連携協定(EPA)の早期締結に向けて、ケニー首相のリーダーシップの発揮を求めた。
ケニー首相の発言概要は次のとおり。
■ アイルランド経済は回復基調
政権に就いた2011年当時のアイルランド経済は不動産バブルの崩壊、銀行システムの破たんを受け、大変厳しい状況にあった。経済の再建のためにさまざまな改革を断行し、国民もよく痛みに耐え、その結果、国際競争力が回復、輸出が増え、雇用も伸びるなど、改革の成果が表れつつある。14年は2%程度の成長を見込んでいる。
経済の回復を可能にした要因の一つは、12.5%という低い法人税率を維持したことである。この税率は、全業種・全企業に等しく適用される、対外的にも透明性が高く十分に説明可能なものである。今月15日には、予防的信用枠を設定することなく、EU、IMFによる金融支援の枠組みから脱却する。
■ 日EU EPAなど自由貿易を推進
アイルランドは40年前にEUに加盟し、開放的な市場における競争のなかで成功する術を学び、自由貿易を通じて多くの利益を得た。その点、貿易障壁の撤廃に積極的であり、今年前半にEU議長国を務めた際には、米国との自由貿易協定(FTA)の交渉権限の取得に尽力した。また、日本をはじめ重要な国との交渉開始も強く支持してきた。
米倉会長から、日EUEPAの早期締結の重要性について指摘があったが、アイルランドとしても早期締結を強く望んでいる。そのためには、工程表に沿って非関税措置を速やかに撤廃する必要がある。
■ 優れた事業環境を提供
アイルランドにはイノベーションの土壌があり、ライフサイエンス、製薬、ICTなどの分野で先端的な技術を有している。また、柔軟な教育制度のもとで高い技能を有する労働力を誇る。このように、高品質の製品やサービスの創出に理想的な環境が整っており、企業間協力の機会も豊富にある。アイルランドを起点に、EUにおける日本企業の事業活動を積極的に支援していきたい。
【国際経済本部】