経団連の米倉弘昌会長は11月22日、東京・大手町の経団連会館で、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相の来日の機会をとらえ駐日ハンガリー大使館が主催した「日本・ハンガリービジネス・フォーラム」に出席した。フォーラムには、首相に同行して来日したハンガリー企業関係者約70名を含む約200名が参加した。なお、これに先立ち、米倉会長はオルバーン首相と日・ハンガリーおよび日・EU経済関係をめぐり懇談した。同フォーラムにおける米倉会長、オルバーン首相のあいさつの概要は次のとおり。
■ オルバーン首相のリーダーシップに期待 ― 米倉会長
開会にあたり米倉会長は、1960年代半ばから国家レベルで交換留学を行うなど、日本とハンガリーが長きにわたって良好な関係を築いてきたことを紹介した。そのうえで、(1)欧州およびハンガリー経済が回復の兆しをみせ始めており、そのことが日本企業のハンガリーへの直接投資など両国経済関係に良い影響を与えつつあること(2)ハンガリーがアジアをはじめEU域外の国々との関係強化の姿勢を打ち出していること(3)日・ハンガリー社会保障協定の署名や日EU経済連携協定(EPA)交渉の進展など、両国経済関係を強化するための制度的基盤が整いつつあること――を挙げ、今回のオルバーン首相の来日は、両国関係の一層の発展に寄与する、時宜を得た有意義なものであると強調。
加えて、日EU EPAの早期締結に向けて、オルバーン首相の強力なリーダーシップの発揮を求めた。
■ 日EU EPA早期実現への支持を表明 ― オルバーン首相
続いてあいさつに立ったオルバーン首相は、ハンガリーにとって日本は重要なパートナーであると強調。将来にわたって現在の良好な関係を続けるため、今回の訪日を機会に日本人学生100名に対する奨学金を新設するなど、若い世代の人的関係の強化に引き続き取り組むとした。また、ハンガリーは、経済危機を克服するため、他のEU加盟国とは異なる革新的な政策を採用、新しい憲法を施行するとともに、労働法制の改正によって柔軟な労使関係を可能にしたことを紹介した。さらに、ハンガリーには欧州の中央に位置するという物流の要衝としての地理的な優位性、イノベーションを生み出す土壌があることを指摘するとともに、ドイツおよび同国とのつながりの深い他のV4(注)諸国とともに欧州を牽引していくとの決意を示した。
加えて、国内市場が大きくないハンガリーの生活水準を向上させるためには、自由貿易を通じた輸出の拡大と原材料・エネルギーの確保が不可欠であると指摘。日EU EPAの早期実現への支持を表明するとともに、アジアなど東方への開放政策を推進し、EU域外向けの輸出比率を引き上げる意向を示した。ハンガリー進出日本企業については、戦略的協力協定を結び、協力して投資環境の整備を進めていくと述べた。
(注)V4(ヴィシェグラード4カ国)=チェコ、ハンガリー、スロバキア、ポーランド4カ国による地域協力の枠組み
【国際経済本部】