経団連の日本ベトナム経済委員会(高橋恭平共同委員長、中村邦晴共同委員長)は9日、東京・大手町の経団連会館で、グゥエン・トゥアン・フォン中央対外関係委員会副委員長を団長とするベトナム共産党幹部一行と懇談した。
一行はベトナム共産党の各種委員会や党関係機関で構成され、党の管理能力研修の一環で訪日している。日本側からはベトナムでの事業に関心の高い企業約30社が出席した。
冒頭、高橋共同委員長はあいさつのなかで、日本ベトナム経済委員会の成り立ちと活動概要を説明し、主要活動である日越共同イニシアティブや計画投資省(MPI)との政策対話の主な成果を報告するとともに、活動への支援を求めた。
続く懇談では、ベトナムのビジネス環境の整備等をめぐり、意見交換が活発に行われた。懇談の概要は次のとおり。
(1)経済成長と環境の両立
日本側から、工業化に伴う廃棄物処理や環境への影響を考慮すると、早期に対処することが肝要であり、わが国の技術・経験を活かして支援したい旨の提案がなされた。これに対しベトナム側は、直近の対応とともに、長期的にも法整備と技術面の双方で日本の協力を得たいとの回答があった。
(2)人材育成
日本側が、ベトナムでの技術者およびマネジメント層の育成について、これまでの協力の実績を紹介した。これに対しベトナム側から、謝意とともに今後も取り組みを継続してほしいとの要望が寄せられた。
(3)土地収用
大型インフラ案件における土地収用の問題について、その解決策をめぐり意見交換が行われた。ベトナム側からは、現在国会で土地法の改正を審議中であるとの現状が報告された。
(4)汚職防止
汚職問題について、ベトナム側から、共産党内にグエン・フー・チョン書記長を本部長とする汚職防止中央指導本部を設置し、宣伝活動を行い防止に取り組んでいる旨の説明があった。
(5)電源開発の推進
日本側が、ベトナムの電力需要増にあわせた機動的な発電所建設の必要性を説明した。これに対しベトナム側からは、発電所の建設を促進するなど電力の問題については、貧困層に対し電力料金の補助金を給付する方策も含めて検討しているとの発言があった。
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日本ベトナム経済委員会では、両国経済関係強化のため、引き続きこうしたベトナム政府・共産党幹部との対話に取り組むこととしている。
【国際協力本部】