経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で、「防衛力の在り方検討に関する中間報告」説明会を開催した。当日は、原壽防衛生産委員会総合部会長が司会を務め、防衛省の眞部朗防衛政策局次長から同中間報告について説明を聞き、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。
■ 防衛計画の大綱について
防衛計画の大綱(以下、防衛大綱)とは、防衛力の在り方と保有すべき防衛力の水準を規定する文書であり、1976年以降、これまで4回閣議決定された。
今年1月、2010年末に閣議決定された現在の防衛大綱を年末に向けて見直すことが閣議決定された。これを受け、防衛副大臣を長とする「防衛力の在り方検討のための委員会」が設けられ、7月26日に同委員会が中間報告を取りまとめた。
■ 中間報告のポイント
現在の防衛大綱の策定以降、北朝鮮の核・ミサイル開発のさらなる進行や尖閣諸島をめぐる中国の海洋活動の拡大などにより、わが国を取り巻く安全保障環境は一層深刻化している。国内では、東日本大震災が発生し、大規模災害への備えを大綱に反映させる必要がある。日米同盟については、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しを通じて、日米防衛協力をさらに強化する。
防衛力の在り方としては、自衛隊の統合運用を踏まえた能力評価を行い、防衛力整備において重視すべき機能・能力を導き出す。具体的項目として、警戒監視能力を強化するため、高高度滞空型無人機の導入の検討、島嶼部に対する攻撃に対応するため、機動展開能力や水陸両用機能の確保が重要である。いわゆる敵基地攻撃論に関しては、弾道ミサイル攻撃への総合的な対応能力を充実させる。またサイバー攻撃に対応するため、米国や民間企業と連携する。
防衛力の能力を発揮するための基盤として、防衛生産・技術基盤を維持・強化する必要がある。さらに装備品の国際共同開発・生産を推進するため、武器輸出三原則等の運用の現状を検証し、必要な措置を講ずる。このほかロボットなどの無人装備、サイバー攻撃への対応、宇宙空間の利用等を含め研究開発を推進する。
<意見交換>
「2013年度予算は増加したが、今後も引き続き防衛関係費を増やしていくのか」との質問に対し、眞部次長は、「まず、必要な防衛体制を構築するための予算は確保しなければならない。第2に、周辺国へのメッセージとしては増やしていくのが当然である。一方で、厳しい財政状況とのバランスを考えなければいけない」と述べた。
また「防衛大綱を策定するまで、特に検討する点は何か」との質問には、「具体的な防衛力整備につながる自衛隊の体制が検討課題の中心である」と答えた。
【産業技術本部】