経団連は4日、都内でむつ小川原開発推進委員会(大宮英明委員長)の2013年度総会を開催し、2012年度事業報告・収支決算、2013年度事業計画・収支予算について報告した。
当日は報告に先立ち、経済産業省の中西宏典大臣官房審議官(エネルギー・技術担当)から、核燃料サイクル政策の動向とむつ小川原開発への期待について説明を聞くとともに、意見交換を行った。
中西審議官の説明概要は次のとおり。
■ 核燃料サイクルの概要
「核燃料サイクル」は、原子力発電所の使用済燃料を再処理することで、ウランとプルトニウムを取り出し、それらを原子力発電所で再利用するものである。
使用済燃料を再利用することでウラン資源を節約できるので、わが国のエネルギーの安定供給・安全保障につながる。また、高レベル放射性廃棄物の減容やその有害度の低下が可能となる。
わが国では現在、軽水炉での再利用(プルサーマル)が開始されている(再処理は海外に委託)。また、国内に再処理工場等の建設が進められている。将来的には、高速増殖炉で再利用することで、高レベル放射性廃棄物のさらなる有害度低下等を目指していく。
なお、わが国の核燃料サイクルは、日米原子力協定により、非核兵器国のなかで唯一、認められているものである。
■ 青森県に立地する核燃料サイクル関連施設
国および電気事業者はこれまで約30年にわたり、青森県の理解と協力のもと、青森県内に核燃料サイクル施設(六ヶ所村の再処理工場、むつ市中間貯蔵施設等)の建設を進めてきた。
当初、10月に六ヶ所村の再処理工場と、むつ市の使用済燃料中間貯蔵施設の事業開始が予定されていた。しかし、12月までに施行される、核燃料サイクル施設にかかる新規制基準(現在、原子力規制委員会において検討中)への適合性審査が行われた後の開始となる見込みである。
一部の原子力発電所では、使用済燃料の貯蔵余地が逼迫している。こうした観点からも、再処理工場や中間貯蔵施設の役割は重要である。
■ 今後の核燃料サイクル政策とむつ小川原開発への期待
核燃料サイクルについては、安倍晋三首相や茂木敏充経産相からも発言があるとおり、これまでの経緯等も十分に考慮して、国策として引き続き進めていく。
むつ小川原開発地区には、「新むつ小川原開発基本計画」(青森県策定、2007年6月22日閣議口頭了解)に基づいて、国家石油備蓄基地、核燃料サイクル施設等が立地している。そのため、同地区は、わが国のエネルギー政策および原子力政策上、重要な地域となっている。また、雇用の創出など地域経済にも大きく貢献している。引き続き、むつ小川原開発の官民協力しての推進をお願いしたい。
【環境本部】