経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で運輸委員会物流部会(丸山和博部会長)を開催し、国土交通省の坂明大臣官房審議官をはじめ自動車局幹部から、「国際海上コンテナの安全輸送に関する今後の取り組み」について説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。
■ 国際海上コンテナの陸上運送を取り巻く現状
国際海上コンテナは、効率性・利便性が高いことから物流量は増加を続けており、わが国の港湾における2011年の外貿コンテナ取扱量は20フィートコンテナに換算すると、輸出入あわせて約1750万本である。
こうしたなか、コンテナ運送時に過積載・偏荷重等があった場合に事故を起こしやすいという課題がある。国際海上コンテナの横転事故は、06~12年の累計で63件発生し、死者数は14名である。事故原因の内訳としては、過積載によるものが7件、偏荷重を特定できたものは4件(その他59件の偏荷重の有無は未確認)である。過積載・偏荷重が特定できた横転事故のうち、輸送品目は木材が55%、重量は25トン以上が81%であった。
これに関連し10年、12年に「国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案」を国会に提出したが、いずれも審議未了で廃案となった。今後の法案提出については、国際的な動向を注視しながら検討していきたい。
■ 今後の取り組み
今年度、新たに「国際海上コンテナの陸上輸送に係る安全対策会議」を設置し、7日に第1回会合を開催した。業界関係者に加え、国土交通省の関係局、警察庁、経済産業省といった参加者の合意のもと安全対策に取り組んでいきたい。
当面の検討課題の一つ目は、「国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドライン」の改正とマニュアルの策定である。05年に策定した同ガイドラインについて、10~12年に国土交通省が実施した事故防止対策推進事業の調査成果を踏まえて改正し、あわせて実務的な詳細を定めた安全輸送マニュアルも策定する。今後、5~6月に具体的な検討を行い、7月ごろに新たに運用を開始、10月ごろにはフォローアップ調査を実施し、その後、結果を報告する予定である。
二つ目は、過積載や偏荷重などの不適切コンテナを発見するための港湾または埠頭ごとのルールを定めることである。まずはワーキンググループを設置し、指定した港湾においてモデル的な要領の作成と試験的な運用を行い、結果を安全対策会議に報告する。これに加えて、国際会議における検討の状況についても同会議の場で報告を行っていく予定である。
ガイドラインの主な修正の方向は大きく4点ある。まず、運転者による安全運転の項に、不適切コンテナを発見するための措置を追加することである。二つ目は、従来のガイドラインではコンテナ内の貨物情報の入手可能性が考慮されていなかったため、今回は、現在の商慣行において得られる情報を運送契約に沿って順次伝達し、最終的にトラック事業者に運送依頼を行う者が当該情報を運送依頼書等に記載するよう修正を行う。三つ目は、前述の調査結果を踏まえ、簡易的な偏荷重の発見方法等を明示する。最後に、適切な積み付けを行うため、過去に不適切状態を発生させた発荷主への注意喚起を追加したい。
【産業政策本部】