経団連は10日、提言「地方法人課税のあり方」を公表した。昨年成立した消費税法改正法では、税制抜本改革の残された課題が列挙されているが、このうち地方法人課税の改革は、平成26年度税制改正において焦点の一つになることから、早期に意見を発信すべく、取りまとめたものである。
■ 地方法人特別税の廃止および地方法人所得課税の国税化
提言の核心は「地方法人特別税の廃止および地方法人所得課税の国税化」である。地方法人特別税とは、地域間の税源の偏在を是正するため、税制の抜本改革、すなわち消費税の引き上げまでの暫定措置として、法人事業税の一部を切り出すかたちで、平成20年度税制改正で創設されたものである。
消費税法改正法が成立したことにより、国・地方を合わせた消費税率は、来年4月には8%、再来年10月には10%へと引き上げられる。5%引き上げによる地方の歳入増は1.54%(地方消費税1.2%、国税の消費税にかかる地方交付税0.34%)で、4兆円強に達する。これらは地域による偏在の少ない財源であり、平成20年度税制改正の際に想定していた「税制の抜本的な改革」は実現しつつある状況である。
そこで提言では、地方法人特別税については、制度の創設経緯からすれば、単純に廃止することが当然であると主張している。
そのうえで、万が一、単純廃止が困難な場合における現実的な解決策として、地方法人特別税、法人事業税、法人住民税の全部または一部、とりわけ所得に対する課税部分は、国税の法人税に統合・一本化することを提案している。
これは、今後経済変動や、競争力強化等の成長戦略の視点による改革に的確かつ機動的に対応し、段階的に法人実効税率を引き下げていくためには、法人の所得に対する課税について、国が一元的に管理することが望ましいということを念頭に置いたものである。
また、法人税としていったん国が徴収した額について、地方自治体が主体的に配分の仕組みを構築することを想定していることから、地方分権の考え方にも沿っており、財源の偏在是正にも資するものである。
なお、提言では、現行の法人事業税における外形標準課税を拡充することについては、極めて慎重に検討すべきと主張している。
■ 償却資産税の見直し等
このほか提言では、償却資産にかかる固定資産税、事業所税、土地税制について、負担軽減を求めている。特に償却資産にかかる固定資産税については、安倍政権が国レベルで設備投資を促進する政策を打ち出す一方で、地方においては設備投資に課税をするという本末転倒な税制となっていることから、是正を強く訴えている。
また、地方税における計算の簡素化、申告書類の削減、申告の電子化の徹底などを主張している。
【経済基盤本部】