経団連の防災に関する委員会(橋本孝之共同委員長、柄澤康喜共同委員長)、国民生活委員会(川合正矩共同委員長、木村惠司共同委員長)は6日、東京・大手町の経団連会館で、関西大学の河田惠昭・社会安全学部社会安全研究センター長・教授を招き、合同委員会を開催した。
河田教授は、まず首都直下地震や南海トラフの巨大地震など大規模地震対策の検討状況について、「近いうちに被害想定が公表されると思うが、公表にあたっては、被害額や地震の最大震度などの数字が独り歩きしないよう、被害軽減に向けた対策をあわせて周知していくことが重要だ」と述べるとともに、特に首都直下地震について、「東京は首都であり、いかに災害から守り抜くか、真剣に取り組まなければならない時期に来ている」とし、「東京の災害脆弱性の主たる原因は都市の過密さにある。過密さを和らげることで、周辺への被害拡大を防ぐことができる」と述べた。
また、企業に求められる防災対策に関しては、まずはタブーをつくらないことが肝心だとしたうえで、「『大規模災害は起こらない』『自社への影響は小さい』と過小評価せず、仮に自社の対応能力を超えるような災害であっても、『想定外』にしないことが重要だ。東日本大震災における最大の教訓は、外力は想定以上の規模で発生し得るということだ」と述べた。
加えて、大規模災害が発生した際の経済環境の急変について言及し、「サプライチェーンの寸断はもちろん、国民全体の消費マインドが低下する。被災を防げたとしても、商品が売れなくなる。また、港湾などの物流機能が低下すれば、仮に生産を継続できたとしても輸出が止まる。こうした副次的・間接的な被害を想定しておくことも重要だ」と指摘した。
その後の意見交換では、出席した委員の「個々の企業では、BCP(Business Continuity Plan)が整備されつつある。今後は、他組織とのBCPの連携を強化していくことが課題だ」との発言を受け、河田教授は、「BCPの組織間連携を強化するためには、関係者での協議を経て、連携を図る主体の範囲を定めておくこと、また、組織間での連携を推進するコーディネーターを利害関係のない外部から調達することの2点が重要だ」と応えた。
【政治社会本部・経済政策本部】