京都議定書第一約束期間における日本の排出削減約束6%のうち、3.8%が森林吸収量で確保することとされており、森林は温室効果ガス吸収源として大きな役割を果たしている。
また、国連気候変動交渉でも、途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減は重要な論点となっている。
そこで、経団連環境安全委員会の国際環境戦略・地球温暖化対策両ワーキング・グループ(手塚宏之座長、岡山豊座長)は1月18日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、林野庁森林整備部の本郷浩二計画課長、赤堀聡之森林吸収源情報管理官らと森林吸収源対策などについて意見交換を行った。懇談の概要は次のとおり。
■ 森林吸収源対策の特質等
本郷課長は、京都議定書第一約束期間(2008~12年)におけるわが国の森林吸収源対策(1990年比3.8%削減)について、これまでの実績に鑑み、着実に達成可能との見通しを示した。
また、「森林吸収源対策は、地球温暖化対策としての費用対効果が高く、産業界や国民の負担を軽減する一方、森林整備や木材利用等により、持続可能な低炭素社会の構築に貢献する」と述べた。
さらに、同氏は、国土の保全・水源涵養など森林の多面的機能の発揮や、地域の雇用創出・経済活性化など、森林吸収源対策のさまざまなメリットを説明した。
■ 森林吸収源対策の今後の見通しと取り組み
続いて赤堀管理官は、昨年のカタール・ドーハにおけるCOP18(国連気候変動枠組条約第18回締約国会議)の結果、京都議定書の第二約束期間への参加の有無にかかわらず、13年以降の吸収量を第一約束期間と同様の仕組みで報告することとなった旨説明した。
一方、木造住宅や家具等の伐採木材製品に関しては、森林から搬出された時点で排出計上された第一約束期間のルールと異なり、廃棄された時点(燃焼分解や埋め立て処分等)で排出量を計上できるようルールが変更されたことに言及した。
また、林野庁側は、「わが国は京都議定書第二約束期間には参加しないものの、地球温暖化防止のため、国内での排出削減対策や吸収源対策、海外での取り組みなど、さまざまな対策を講じることが必要」とし、「2013~20年平均で、森林吸収源について国際的に合意された算入上限値3.5%の確保を目指すとともに、将来の国際枠組みを見据えた森林の整備・保全、木材利用等の推進に取り組む」との方針を述べた。
そのうえで、「地球温暖化対策税も財源とし、健全な森林の育成や森林吸収量の参入対象となる森林の拡大(面的拡大)、わが国の人工林資源の吸収能力の向上(質的向上)等、具体的な取り組みを推進していきたい」とした。
■ 地球温暖化対策税に対する経団連の見解
一方、経団連側からは、エネルギー価格の増大につながる地球温暖化対策税にかねて反対し続けてきた経緯を述べたうえで、使途拡大は容認できないとの見解を示した。
さらに、途上国における森林減少・劣化対策への支援についても、環境と経済の両立に基づく互恵的な枠組みを構築すべきとの考えを強調した。
【環境本部】