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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月24日 No.3116 「今後の企業年金制度のあり方」公表 -厚生労働省の厚生年金基金改革試案に対する意見を提言

経団連は22日、提言「今後の企業年金制度のあり方」を取りまとめ、公表した。提言の概要は次のとおり。

■ 議論の背景

昨年春に発覚したAIJ投資顧問の事件を契機に、被害が集中した厚生年金基金制度のあり方について、政府・与野党での検討が始まり、昨年11月、厚生労働省は具体的な改革試案を示した。これに対し経団連は、この試案に対する意見を表明するとともに、国民の老後生活の安定を図る観点から、企業年金のさらなる普及・拡大に向けた要望を行うこととした。

■ 厚生年金基金改革試案についての意見(図表1参照)

厚労省の試案は、(1)代行制度の廃止(2)破綻処理が急がれる厚生年金基金の解散促進(3)厚生年金基金から他の種類の企業年金制度への移行促進――の三本柱で構成される。

このうち、「代行制度の廃止」については、第三者評価も踏まえたうえで制度の存廃を決定すべきであり、廃止する場合には、十分な移行期間や中小企業も運営しやすい企業年金制度の整備が、存続する場合には、ガバナンス・運用規制の強化や代行割れ時に解散する場合の代行部分の給付減額等の措置が必要である。

次に、「破綻処理が急がれる厚生年金基金の解散促進」について、連帯債務の廃止は、連鎖倒産等の懸念を考慮すれば、やむを得ない措置である。ただし、国に返済する積立金を現行特例よりも減額する案は、モラルハザードの防止、過去に解散・代行返上した基金との公平性を確保する観点から、採用すべきでない。

最後に、「他の種類の企業年金制度への移行促進」について、厚労省試案の一部は評価できるが、集団運用型DC(確定拠出年金)は、従業員の自己責任を前提とする仕組みにもかかわらず投資教育を省くことへの懸念があり、さらなる検討が必要である。

図表1 厚労省試案(11月2日)のポイントと経団連意見書での主張の比較

■ 企業年金の普及・拡大に向けた制度改正要望

企業年金の普及・拡大に向けては、厚労省試案を実現するだけでは不十分であり、中小企業への企業年金の普及、DCにおける柔軟な制度設計の確立、制度の中長期的な持続可能性の向上の三つの観点から、税制面での対応を含む抜本的な企業年金制度の改正を求める(図表2参照)。

図表2 必要な制度改正

【経済政策本部】

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